「おえかき和尚 うた日記」 書籍判
A5判、縦書き 130頁 定価600円(税別)
 
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祖父のこと   平成二年七月一日
 今日は祖父のお命日(めいにち)。毎朝、本堂にあがりおつとめできるのも、一世紀ほど前に祖父が出家したご縁からと思うと、お命日はことさらありがたく、大きな声でお念仏が申せた。
 私は子供の頃、祖父の遺影(いえい)をみるたび、家族の中では私が一番祖父に似ていると思っていた。祖父のような僧侶になりたいと思ったが、成長すると僧侶への道は、いっとき、わきの方へやってしまった。
 僧侶になってからは、社会的に大活躍している父の歩みについていくだけで精一杯で、おぼつかない日々がつづいた。さらに弟たちもサラリーマンとして、つぎつぎと自立していき、寺をはなれていった。父は、もう一人ぐらい坊さんになってもらいたいとは、言っていたが。
 あわただしい日々を送ってきたが、子の頃年令というものがあるものだと、つくづく思う。不惑(ふわく)をむかえたこの頃、お念仏のありがたさを日々思えるようになってきた。
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        つゆ   てら しょうきにち    あさごえ  あ
梅雨の寺 正忌日の朝声を上ぐ

朝のおつとめを終わっての句。私が寺に生まれず、が我(が)のつよいまま生まれていれば、今朝のお念仏に出合うこともない、そう思うと、少し感傷的になり、お念仏の声が大きくなった。