「おえかき和尚 うた日記」 書籍判
A5判、縦書き 130頁 定価600円
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花まつりのこと 平成九年五月八日
旧でつとめる花まつりの日。十時頃、幼稚園児がおまいりし、甘茶をかける予定となっている。それまでに、花御堂のお飾りと甘茶の準備をしなければならない。
当寺の花御堂は古くて大きい。屋根にはスギナ-ツクシの草-を敷き、その上に生の花をふんだんにのせてお飾りするのが、当寺の伝統的な飾り方だ。スギナはもうこの辺にはまとまって生えてないので、昨日、車で行き、刈りとってきた。花は買ったものや、本堂の花瓶のもの、庭に咲いているものを、花だけとって集める。野口さんにお手伝いを頼んであり、二人で庭に今咲いているツツジや、プランターのパンジーまで摘みとる。野口さんは寺にくる時、家の自慢のボタンをたくさん切ってもってきてくれた。
この頃は、温暖化のせいか、藤棚のフジは四月中に咲き終わっており、お飾りに間に合わない。以前は、フジの房をお堂の屋根の軒下に垂らした。紫の房が雨だれのように屋根からさがるという趣向だ。そのかわりに、今は、竹ヤブの葉ランを屋根の四隅にテープで止め、アクセントにしている。
早朝、逸見のおばさんが来て、お堂を置く向拝(※)の前庭をほうきで掃いてくれた。
花まつりのお飾りは、亡くなった祖母から孫の私がうけついだ。戦争中、父が出征していた時も、祖母が飾っていたと聞いている。
※向拝(ごはい)・・・・・・ 本堂正面の入口階段付近の、屋根のはりだした所。本堂の外で拝む所。
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釈迦牟尼の生まれたまいし灌仏会
風になき庭を媼清めり田
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