「おえかき和尚 うた日記」 書籍判
A5判、縦書き 130頁 定価600円(税別)
 
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愛犬との別れのこと     平成十四年十二月十一日
 朝、動物病院より電話が入り、ケンが亡くなったと知らされる。私の予想より早い連絡となった。
 もうすぐ十年目で、とても元気なビーグル犬だった。ジャンプが好きで、小屋の中で私の胸あたりまで飛び上がった。もしかしたら、それがもとで腰痛がおきたのだろうか。何日も前から、痛くて鳴きつづけるようになり、夜も鳴きつづけるようになったので、動物病院へ入院させた。鳴き声がつらくて、私達家族もいたたまれなくなっていた。
 病院の話では、前日までエサはたべていたという。
 病院は近所なので、すぐケンをひきとりに行き、目の前で亡くなった姿を見るのはつらく、昼前に埋葬し、一人でお経をつとめた。埋葬場所は、前の犬もそうしたように竹薮のあまり人が歩かない場所を選んだ。火葬も考えたが、竹薮は広いので私が手厚く葬った方がよいと思った。
 昼頃、家族がケンの死を知って、かわるがわる墓へお参りに行った。息子も目がしらを赤くしていた。
 ケンの事が幼稚園に知れると、園児たちがお参りしたいと希望が先生より伝えられた。全員が来るような気配なので、少し考えて、男女の各クラス代表者だけにしてもらった。いくらお寺の幼稚園でも、お付き合いがていねいすぎると思った。
 毎朝、ケンにあいさつしてから教室に入る園児が何人かいて、ケンの死を聞いて泣いていたというのだ。そのことを聞いて、なおさら愛犬の死が悲しくなった。
 子供達がお参りしている間、私はお経をつとめた。簡単なテーブルに花や灯り、線香をたてを用意しておいた。その儀式が、子供達にも、付きそった先生達にも安心を与えたようだと、あとで報告があった。みんな、悲しかったのだと知った。

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愛犬を悼む竹薮残り雪

竹薮には、二〜三日前に降った雪があちこちに残っていた。