「おえかき和尚 うた日記」 書籍判
A5判、縦書き 130頁 定価600円(税別)
 
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初山のこと      平成十八年七月一日
 朝の花火の音で、今日は初山であることを知る。浅間さまの赤ちゃんのお祭り。お宮参りし、赤ちゃんの額に伴こを押してもらう。
 浅間さまは浅間山がご神体かと思っていたが、富士山信仰で、江戸時代から連綿とつづく、子育祈願の民間信仰だ。お参りする時、神社でいただくのはネギと痰切りと、ウチワの三点セットだ。
 アメは、富士山の山のぼりでのどがかわくのでなめ、ウチワは汗をかくほど暑いのであおぐといて、なぜネギなのだろうかと思っていたが、地元の人の説明では、フシのないようにまっすぐ育ってほしいという意味だそうだ。横道にそれず、まちがいをおこさずということか。
 浅間さまは雪駄の音がきらいで、ゲタの音が好きといういいつたえがある。雪駄はゾウリのことで、天気の時にはく。ゲタは雨の時、つまり浅間さまは雨が好きだといわれている。浅間さまの日は毎年、六月三十日と、七月一日の二日間で、たいてい一日は雨となる。この時期に雨が降ると、梅雨だから雨が降ったとは言わず、「やっぱり、浅間さまだから雨がふったねぇ」と町の人は口々に言う。

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初山へ赤子の汗に母の汗

この時節、雨が降ろうが晴れようがむし暑い。母と子のお参りは、大汗をかいてしまうことが多い。
 私のこの絵を目にした、ある年輩のご婦人が、「昔はこんなかっこでお参りしたら、年寄りにおこられてしまいますよ」と言った。たしかに昭和の頃の初山のお参りは、母親は着物の正装で、赤ちゃんも袖の長い紋付きの着物を着せられた。
 ジーンズにTシャツなんて、ありえないというわけ。