「おえかき和尚 うた日記」 書籍判
A5判、縦書き 130頁 定価600円(税別)
 
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母の靴のこと     平成十九年一月二十日
 宗派の保育連盟の組織の行事があり、夕方からの開会なので、早めに家を出て、都内を少し散策する。
 地下鉄で日本橋へ向かう時、背の高い介護士さんらしい人と一緒に、ずい分背の低いおばあさんが入ってきた。とっさに目にとまったおばあさんの靴は、母が生前愛用していた扁平の、色まで同じ靴であり、手にはアルミの杖をもっていた。
 座席に座ってから、介護士さんらしい人は、おばあさんに向かって、二階からみおろすように、何やらA4の印刷物を読んであげていた。おばあさんは、話が聞こえているのであろうか、前だけ見ていて、電車が珍しいらしく、子供のように目を動かしていた。久しぶりの外出かな、と思った。
 母が亡くなって四年目になる。何だか、母の分身が目の前に座っているような気がした。

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亡き母と同じ靴はく地下鉄の
老母は小さく子供のように有り



※この絵はクツを強調するために、芸術的観点から顔が全部書かれていません。