「おえかき和尚 うた日記」 書籍判
A5判、縦書き 130頁 定価600円(税別)
 
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札所の大イチョウのこと     平成十九年六月十日

 三日ほど前の六月七日、お寺の日帰り旅行で、坂東三十三ヶ所観音霊場十番、東松山市岩殿山正法寺をお詣りする。
 この寺は、幼稚園の遠足で、すぐ近くまで何度も行ってるのに気づかなかった。埼玉子供動物自然公園の通りに向う側の谷に寺があった。近くに大学のキャンパスがあり、その先に正法寺へ降りる近道のトンネルまであった。
 坂上田村麻呂の伝説もあるという、千年以上の歴史を有する古寺も、今にちは動物園や大学への人の通行が目立つことになっている。比企丘陵の物見山という山の北側の谷に寺をかまえ、古い参道から向うと、だんだんに高くなっていき、百三十米余りの低い山なのに谷は深い。付近の丘陵は九十九谷の名を残しているほど谷が多く、丘陵全体を岩殿山と呼ぶ。
 観音堂の前にある大イチョウが、また実に太くたくましい形をつくっている。
 今日、この大イチョウを思いだし、知人に絵手紙として書いたら一句できた。


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大銀杏千手の御手に見たてたり

 案内のパンフレットを見ると、岩殿山の観音さまは千手観音とある。巨木のイチョウの上へ上へとのびた枝を、私は千手観音の手にみたててみた。中世には修験寺として栄え、近世には観音信仰として、近郷近在からお詣りがあり、そのにぎわいは大いに増した。千手の御手は人々の願いの数ともいえよう。