房ちゃんの自然発見

9月19日更新
No.06
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文・写真/長須房次郎
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〜 生き延びていたトチカガミ(水鼈) 〜
   
トチカガミの群生している水路

幸手市内の農業用水路で、絶滅の危機に瀕しているトチカガミ(トチカガミ科) が今年も立派に花を咲かせてくれました。
 トチカガミはアジアからオーストラリアにかけて分布する多年生の浮遊植物 (水底に固着せずに、植物全体が水面に浮かんで生活する植物)で、おもに平地の湖沼や水路に群生します。水中を横にはうストロン(走出枝)の節から数枚の葉が出て、8〜10月ごろに3枚の白い清楚な花を咲かせます。

トチカガミの群生している水路  

 葉はほぼ円形で直径5〜6p、水面に浮かぶ葉は裏面中央部が膨れて浮き袋になっています。花は水面上にぬけだして開き、1日でしぼみます。花には雄花と雌花があります。
 かつて県東部の低地には普通に見られましたが、開発に伴う湿地の埋め立てや水質汚濁などで激減しました。県のレッドデータブックには、「絶滅危惧TB類」(近い将来に絶滅の危険性が高い種)にリストアップされています。

トチカガミの花
 
トチカガミの花
水路に生息するメダカ

 トチカガミが生育できるということは、水質が以前より良くなっている証拠で、この水路には絶滅危惧種のメダカ(目高)も生息しています。しかし、3年前には、群落が数百メートルにわたって広がっていましたが、現在は大変少なくなっているのが心配です。
 光沢のある円心形の葉をスッポン(鼈 別名トチ、ドチ)の鏡に見立てて、トチカガミの名前がつきました。

2003.9.9記録
水路に生息するメダカ
 
 

 
〜 ツルボ(蔓穂) 〜
   
ツルボの生育地

 「ツルボが今家の近くに咲いてますよ!」
と、いう電話に心が弾みました。さっそく、翌日(9月2日)現地にて撮影しました。
 昨年、野草観察会のとき、「幸手市内でここ数年ツルボを見ていない」という私の話を覚えていた緑台在住の小松テル子さんが連絡をしてくださいました。

ツルボの生育地  
 ツルボは、おもに原野の草原や墓地、休耕地の乾いた日当たりのよい場所に生えるユリ科の多年草です。私が雑草の勉強を始めた頃は市内各地で見られましたが、最近は見られなくなりました。国・県内では普通種です。
ツルボの花
 
ツルボの花
ツルボの球根

 薄皮におおわれた小型の鱗茎(りんけい)を持ち、長さ15〜25pの葉が春と秋2回出ますが、
春葉は5〜10枚出て夏枯れます。初秋、再び葉を出し、すぐあとに、花茎が伸びて花を咲かせます。花期は8月〜9月、淡紅紫色の花が多数集まって長い穂となります。花は直径6〜8oで平開し、長さ5〜7oの小花柄につきます。
 別名「参内傘」(さんだいがさ)は花穂が、むかし公卿が参内するとき、共人が差し かけた長絵傘のたたんだ形に似ているのでつけられた。にているとびと和名のツルボ、スルボの由来ははっきりしない。

2003.9.3記録
ツルボの球根
 
鱗茎・・・
地下部にある茎のまわりを、養分を蓄えた無葉緑の葉(りん片)が密にとりかこんだもの。園芸上で球根と呼ばれているものの多くは鱗茎である。
例)ユリ類、タマネギ、アマリリス
 
 
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