トンボ・野草研究家の長須房次郎さんが幸手近郊の自然を紹介

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長須 房次郎
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No.20 -11月16日更新-
〜 権現堂付近の秋 〜
◆ススキじゃないんです◆
「これススキでしょ」「十五夜にはこれを生けたんですよ」
「いいえ、違います。これはオギ(荻)ですよ」
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【オギの群落(花穂は薄紫色)】
(11月10日北1丁目地内にて撮影)
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【中川河畔オギの群落(花穂は白色)】
(11月10日権現堂地内にて撮影)
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 上写真左側の花穂は穂が出たばかりで淡紫色ですが、右側は実が熟して花穂が白色になっています。オギは水辺や湿地に育ち、花穂はススキより大きく豊かで淡紫色から白に変わります。
 オギとススキについては、昨年『晩秋の中川』(No.8)で説明してありますが、オギの小穂には芒がなく、基部には小穂の3〜4倍長い絹糸のような銀白色をした毛があり、ススキのように株立ちしないので区別出来ます。皆さんの周りにあるのは、果たしてススキでしょうか。それともオギでしょうか。ぜひ一度確かめてみてください。

「大利根の流れたゆたふ荻の花」 長須蜻蛉子
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【オギの花穂】
(11月10日権現堂中川河畔にて)
 

《紅葉したハゼノキ》
「目立ちしは皆櫨紅葉ならぬらし」 高浜年尾

 ハゼ(櫨)の紅葉の深紅色は、燃えるような紅葉という言葉の象徴のように美しい。桜紅葉も美しいですが・・・。桜堤の近くで出会った私は足を止めてしまいました。
 ハゼノキはウルシ科、雌雄異株、高さ6〜10メートルの落葉高木で、台湾、中国、インドシナ半島、ヒマラヤなどに自生し、日本でも果実から蝋をとるために植栽され、広く野生化しています。ウルシほどひどくはかぶれません。
別名=ハゼ・ロウノキ・リュウキュウハゼ
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【ハゼノキ 後方は桜堤の桜】
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【ハゼノキの紅葉】
( 11月10日権現堂堤近くにて撮影)
 

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【ヤマノイモ】
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【ヤマノイモのむかご
(11月10日北3丁目地内にて撮影)
《ヤマノイモ》
 ヤマノイモ(ヤマノイモ科)が見事に建物をよじ登って、むかごをつけているのを見て感動、シャッターを切りました。葉はすでに紅葉していました。
 ヤマノイモは多年草で、冬など生育に不適当な季節には地上部は枯れてしまいます。「山芋」「自然薯」「自然生」とも呼ばれます。むかごは食べられますが、ヤマノイモにとっては重要な繁殖のための散布体です。
 

《クコ》
 クコ茶で知られるクコは、川の土手や溝のふちなどに生え、高さ1〜2mになります。昔から、春に葉芽を摘んでクコ茶に、秋には果実を摘んでクコ酒を作り民間薬として利用されてきました。
 和名のクコ(枸杞)は、古くは久美久須利(クミクズリ)といわれ、その名のとおり美しくいられるとして昔から愛用されているわけです。
 俳句では春の季語とされ、粕壁中学校(現在春日部高校)の先生をされていた加藤秋邨の句に 「枸杞青む日に日に利根のみなとかな」 があります。
 葉腋や枝先には刺があるので果実を摘むときなどには「要注意」です。
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【クコ】
(11月10日大字幸手地内にて撮影)
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【クコの実】
(11月10日11月4日権現堂川用水路畔にて撮影)
 
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《オオアオイトトンボ》
  北3丁目地内中川右岸の上船渡橋付近の林の中でトンボを発見しました。
赤トンボではなく、オオアオイトトンボでした。連結飛翔をしているもの、交尾しているものも見掛けました。
  オオアオイトトンボの幼虫は、岸辺に木立のある池沼や湿地の滞水などに見られ、幸手市内では3か所しか生息が確認されていません。私の記録では、幸手市域の成虫出現期は5月25日〜10月19日、したがって、11月10日に見られたのは新しい発見でした。あと何日見られるか楽しみです。
 産卵はほかのトンボと違って樹木の水面上にはりだした生きている樹皮におこないます。この写真でははっきりとしませんが、鮮やかな金緑色をした大型のイトトンボで、アオイトトンボより体形が大きいのでオオアオイトイトトンボと名付けられました。
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【オオアオイトトンボ♂】
(11月10日上船渡橋付近にて撮影)
 
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