トンボ・野草研究家の長須房次郎さんが幸手近郊の自然を紹介

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長須 房次郎
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No.21 -12月14日更新-
〜 自然観察ウォーキング 〜
 
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【臨川庵全景】
(11月30日幸手市西関宿にて撮影)

12月12日(日)自然観察ウォーキング(幸手自然観察クラブ主催)を実施しました。幸手東公民館を午前10時に出発、宇和田公園、幸手放水路の土手を経て幸手市西関宿の臨川庵にある銀杏地蔵を見学しました。その後、江戸川土手から関宿城を遠望して、東公民館に帰り、昼食後研修会を実施しました。途中オギ、ヨシのほかセイタカアワダチソウ、セイバンモロコシ、オオイヌノフグリ、セイヨウタンポポなどの帰化植物をはじめセンニンソウ、イヌホオズキなど初冬の野草、ハクセキレイ、カワウ、カワセミなどの鳥類を観察出来ました。あいにく寒い日でしたが27名の参加者全員楽しい一日を過ごしました。
 銀杏地蔵は臨川庵の境内にある樹齢400年余といわれるイチョウ(銀杏)の木の胎内に地蔵が刻まれています。この銀杏地蔵は子育て地蔵といわれています。この日西関宿在住の下津谷秀男様のご案内で参加者全員が見学することが出来ました。今回は、この日に見られた植物のうち特徴のあるものを紹介します。
   
《センニンソウ》

 フェンスに絡みついたセンニンソウには果実がいっぱいついていました。
センニンソウはキンポウゲ科の植物で、山林や日当たりのよい道端に生育する蔓性の半低木で、花期は8〜9月、花は白色で径2〜3cm、上を向いて平開します。葉は奇数羽状複葉で、小葉は5〜7枚、まばらにつきます。
葉柄はねじれて他物にからみつきます。
 花のとき、めしべの花柱であった部分が3cmくらいに伸びてそれに絹のような羽状の毛がつきます。果実をできるだけ遠くに飛ばそうというためでしょうか?この毛を仙人の白髪と見立て「仙人草」の名前がつけられたようです。茎や葉から出る汁にプロトアネモニンという有毒物質を含んでいます。肌につけると水疱ができます。誤食すると口中がやけつくように熱く感じ、胃や腸の粘膜がただれて苦しみ、便に混じります。決して食べてはいけません。

センニンソウと同属の観賞用園芸植物のテッセンの仲間をクレマチスと呼んでいますが、センニンソウにもクレマチスの学名がついています。
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【他物にからみついて
果実をつけているセンニンソウ】
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【センニンソウの果実】
(11月30日宇和田公園にて撮影)
 
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【イヌホオズキの花】
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【イヌホオズキの果実】
(12月10日権現堂堤にて撮影)
《イヌホオズキ》

 北海道以南に畑や道端に普通に見られるナス科の一年草です。
茎は斜めに立って枝分かれして高さ30〜60cmになります。花枝は節と節の間から出て、数個から10個あまりの花をつけます。花は白色で直径6〜7ミリ、5裂して裂片は先が尖っています。花が終わると果柄は基部より急に下向して果序は下を向きます。果実は球形、無毛、平滑、成熟して紫黒色となります。その中には多数の種子が入っています。各種の図鑑には花期8〜10月とありますが、幸手市域では12月でも開花しています。
 世界の熱〜暖帯に分布しており、日本には古い時代にはいったものと思われます。似た種類のアメリカイヌホオズキは北アメリカ原産の帰化植物で、1951年に兵庫県尼崎市で採取され、現在では全国的に分布しています。花が淡紫色または白色、茎が細く、多くの枝を分かち横に広がり、葉の幅が狭いので区別できます。また、イヌホオズキは荒れ地に生えるのに対し、アメリカのイヌホオズキはやや湿気の多いところを好むようです。

 
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