トンボ・野草研究家の長須房次郎さんが幸手近郊の自然を紹介

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長須 房次郎
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No.13 -4月20日更新-
この木何の木?
〜権現堂堤のシンボルツリー〜
 春は桜!桜と言えば権現堂!菜の花の黄とピンクの桜のコントラストはなんと言っても関東随一 今年も権現堂の桜まつりには県内外から数十万の観光客が訪れました。
 
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菜の花と桜いっぱいの権現堂堤
この桜堤の中央にひときわ大きい樹木があります。「この木何の木?」とよく質問されますので、今回はこの木を紹介いたします。
 この木はヒマラヤスギ-Cedrus deodara-別名ヒマラヤシーダー、「幸手市史自然環境編U」作成時の調査では直径102.8p、幹周り3.24mで高さは26.7mありました。桜並木から抜きんでて、遠くからでもそれとわかります。
 その名のとおり、ヒマラヤ西部〜アフガニスタンの原産で、日本には明治時代初期に移入されて、公園や神社仏閣の境内に植えられました。ちなみに市内には調査時に直径50p以上のヒマラヤスギは、5本ありました。
   
 
雌雄同株で花期は10〜11月、雄花も雌花も短枝につき、雄花は長さ2〜5pの円筒形、雌花は円錐形で淡緑色、球果は長さ6〜13pで翌年の10〜11月に成熟します。
 ヒマラヤスギはスギの名前がついていますが、杉のなかまではありません。
 長枝や短枝があることや球果が短枝に上向きにつくことからマツ科カラマツ亜科とされていましたが、最近は球果の果鱗や材の性質に基づいてモミ亜科とみる考え方が有力になっています。
《権現堂堤付近にて4月6日撮影》
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権現堂堤のヒマラヤスギ
   
 

 
〜晩春の中川〜
 
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晩春の中川
この写真は、4月18日、幸手市上宇和田地内の境杉戸線に架かっている新船戸橋下流の中川の風景です。
 土手を黄色に染めているのは菜の花、花の最盛期は過ぎています。菜の花の大部分はアブラナ、一部セイヨウカラシナです。
 この日、中川左岸の堤防で幸手市域で初記録の帰化植物〜ヒゲナガスズメノチャヒキの群生しているのを確認しました。
   
 
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ヒゲナガスズメノチャヒキの群生
 本種は別名をオオキツネガヤ、オオスズメノチャヒキといい、地中海沿岸の原産の1〜2年草で、日本には大正はじめに入り、第二次世界大戦後急にふえ本州、四国、九州に分布しています。「平成10年度版埼玉県植物誌」によれば、県内で確認されているのは杉戸、菖蒲、蓮田の三ヶ所だけです。
 ここでは、ヨーロッパ原産の1年草カラスムギ、コバンソウも穂をつけており、淡青色の花をつけたノヂシャもありました。このはかカキドオシやムラサキサギゴケなど数十種の春の野草を観察する事が出来ます。
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花穂
     
 
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カキドオシ(シソ科)
茎は四角でつる性、花が終わると長く伸びて地上を這い1m以上にもなる。茎から伸びて垣根を通り抜けて成長することから「垣通し」の名がある。民間薬として子供のカンをとるというので「カントリ草」ともいわれる。血糖降下作用効果がある。食べると薬になる野草としても用いられ、茎、葉、花をてんぷら、酢みそ和え、中華風サラダとして食べられる。
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カラスムギ(イネ科)
ヨーロッパ原産で畑地、道ばた、川原、土手などにはえる普通の雑草で2年草。高さは30〜100p。花期は5〜7月。
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ノヂシャ(オミナエシ科)
ヨーロッパ原産の1〜2年草、花は5〜6月頃、茎は10〜30pで二又状に分枝する。
 葉はサラダにして食べられる。明治初年に渡来、県内では主として中川、江戸川などの堤防で見られる。
 
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