トンボ・野草研究家の長須房次郎さんが幸手近郊の自然を紹介

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長須 房次郎
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No.15 -6月21日更新-
花が咲いたウマノスズクサ(馬の鈴草)
 
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【フェンスにからみついているウマノスズクサ】
〔幸手市中2丁目;倉松川左岸にて6月14日撮影〕
ウマノスズクサ Aristolochia debilis は関東以西の河原や土手に生える蔓(つる)性の多年草です。葉は互生し、形がヤマノイモやヒルガオに似ています。茎ははじめ直立しますが、周りの植物に寄りかかって伸び、2m近くになります。ちなみに蔓の巻き方はアサガオと同じ右巻きです。
   
 
 花は黄緑色の長さ3cmあまりの筒形で、葉腋に1個つき6〜8月に咲きます。
 横向きに咲き花被(がくにあたる)は筒形で斜めに口を開き、先がとがり、内面は黒紫色をおび、筒の部分が少しまがり元のほうが丸くふくれています。果実は熟すと基部のほうから割れて吊り下がります。この形が馬の首に下げる鈴に似ているので、「馬の鈴草」の名前がつきました。
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【ウマノスズクサの花】
〔幸手市中2丁目;倉松川左岸にて6月14日撮影〕
   
 ウマノスズクサはあまりなじみのない植物ですが、ジャコウアゲハの食草であり、果実や根が漢方で使われるのでチョウの愛好家や漢方に詳しい人にはおなじみの植物です。
 ◆今回緑台在住の幸手自然観察クラブの小松テル子さんからお知らせ頂いて取材出来ました。6月15日に土手の除草作業が行われ、花の咲いていた部分は刈り取られました。
 

 
今年も健在
デンジソウとモートンイトトンボ
 
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【宝泉寺池】
〔6月11日撮影〕
 鷲宮町に幸手の高須賀池とおなじような環境の宝泉寺池があります。
  この池の近くの貴重な生物〜デンジソウとモートンイトトンボ〜を紹介致します。
   
 
 デンジソウ(田字草)は夏緑性の水生シダ植物です。4枚の小葉が漢字の「田」の字の形に並ぶところからこの名前がつきました。英語ではウォータークローバーと呼ばれます。野生種としては、ここが県内唯一の産地でレッドデータブックでは絶滅危IA類に上げられています。平成12年12月1日埼玉県希少野生動植物の種の保護に関する条例により「特定県内希少野生動植物種」に指定されています。絶滅が心配されていますが、今年は現在のところ健在です。
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【デンジソウ】
   
 
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【モートンイトトンボの生息地】
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【モートンイトトンボの雄】
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【モートンイトトンボの雌】
 モートンイトトンボは雄雌ともに腹長17〜24mm、後翅長11〜16mmの小型のイトトンボで、県内中川・加須低地では1970年代までに生息地が消滅したと考えられていました。私は2001年6月、42年振りに、鷲宮町に生息していることを確認しました。その後、生息地の大半が埋め立てられました。が、今年も細々ながら生息していることが分かりました。 〔鷲宮町にて6月11日撮影〕
 
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