トンボ・野草研究家の長須房次郎さんが幸手近郊の自然を紹介

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長須 房次郎
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No.16 -7月22日更新-
真夏の青毛堀川
 
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【花をつけたソクズの群落】
〔青毛堀右岸にて7/15撮影〕
7月16日、鷲宮町から久喜市へ向かって青毛堀川沿いを歩いてみました。
 小さい白い花の密集したソクズの群落が目につきました。ソクズ(スイカズラ科)は大型の直立草本で、茎は高さ1〜1.5mに伸びます。梅雨が明けるころ、散房状の花序の花が咲き、小雪をのせたように白く咲きます。花序のなかに、黄色い椀状の腺体があります。腺体からは蜜を分泌、訪れる昆虫によって集団的に受粉が行われます。
   
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【生育初期のソクズ】
〔青毛堀右岸にて7/15撮影〕
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【ソクズの花】
〔青毛堀右岸にて7/15撮影〕
 ソクズの茎は水を多く含んでいて、冬になると地上部は枯れてしまいますが、地下茎は生きており適地を求めてよく伸びていきます。ニワトコに似ているのでクサニワトコの別名もありますが、ニワトコは低木で、花序は上面が平らでなく、まるく盛りあがり、黄色い腺体がないので見分けられます。ソクズの葉と根を乾燥させたものは「さくだく」と呼ばれ、リューマチや下痢止めに利用され、浴用、食用にもなります。
   
 河岸にはマコモ(イネ科)が花をつけていました。マコモは河岸や池沼の水中に群生する大型の多年草で、土中に太い根茎があり、茎は1〜2m、葉は長さ0.5〜1m、幅2〜3cmあります。
 マコモには長さ1cmほどの細長い果実(菰米)が出来ます。これは食べられますが、かつて飢饉の時に救荒食に使われた記録があるくらいでほとんど実用にされたことはありません。昔は長い葉でござを盂蘭盆の祭壇に敷きました。「真菰-マコモ-」の名は、葉や茎から敷物や衣服を作ったためといわれます。
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【河岸のマコモ】
〔青毛堀左岸にて7/15撮影〕
   
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【マコモの花】
〔青毛堀左岸にて7/15撮影〕
 私の子供の頃、幸手付近では、七夕前日の八月六日にマコモで雌雄一対の馬をつくり、短冊をつけた笹竹の下に備えつけました。これは牽牛と織女の乗り物です。七日の夕方、馬は火難除けになるといわれ屋根に投げ上げました。この風習が今どれくらい残っているでしょうか。
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 青毛堀川(あおげぼりかわ)は地元では「おおげぼり」と呼ばれています。騎西町西部に源を発し、加須市、鷲宮町、を経て久喜市吉羽に至り、大落古利根川に合流する全長14kmの川です。おもに排水路としての役目をもっていますが、江戸時代には舟運にも利用されました。
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