トンボ・野草研究家の長須房次郎さんが幸手近郊の自然を紹介

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長須 房次郎
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No.30 -9月17日更新-
散歩してみませんか!
〜 初秋の水田地帯 〜
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【稲刈り直前の水田と水路】
八代地域の水田地帯にて9/1撮影
幸手市域約33.95kuのうち、約50%は農地で、その大部分が水田です。 今回はアスカル幸手から八代小学校の間に広がる初秋の水田地帯の自然を紹介します。

 水田地帯には、水路が縦横に設けられています。かつては、灌漑用水路としての機能がありました。しかし今では、パイプラインで灌漑用水が供給されますので、水路は排水路として機能しています。
 9月上旬、もう稲刈りが始まっていました。水路沿いの農道を歩きながら様々な発見がありました。
 かつては絶滅か?と思われていたハグロトンボが水草の生えている水面上に見られました。
   
 まさしく、産卵のため幼虫(ヤゴ)時代を過ごしていたこの水路に帰ってきていたのです。9月1日午後の観察では、水路約100mの間に♂♀あわせて30までカウントできました。9月2日午前10時頃、♀が水草に産卵しているのを観察しました。シオカラトンボも多数みられました。
 他にギンヤンマ、ノシメトンボ、コフキトンボも観察できました。ハクセキレイのほか、なんとカワセミ(翡翠)とも出会いました。
ハグロトンボは房ちゃんの自然発見28参照
 水路沿いには淡紅色の花をつけたイヌゴマ、地味な花のノブドウ、胞子葉をつけたコウヤワラビ、秋を象徴するアキノエノコログサ、水田の片隅には絶滅危惧種のミズワラビ、ミズマツバが、休耕田にはヒデリコ、カヤツリグサ、タカサブロウ、コナギ、準絶滅危惧種のヒメミソハギなどたくさんの植物も観察できました。
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【水草に集まるハグロトンボ】
八代地域の水田地帯にて9/1撮影
   
イヌゴマ
 イヌゴマはシソ科の多年草で、湿り気のある草原や河畔などに生える。 茎の先に花穂を付け淡紅色の唇形花をつける。花冠は長さ1.5cmほどあり上下2唇に分かれ、下唇は3裂して、濃い斑点がある。葉に短い毛や刺がある。 花期は7〜9月。別名チョロギダマシ。
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【イヌゴマ】
権現堂・桜堤北側にて 8/9撮影
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【イヌゴマの花】
権現堂・桜堤北側にて 8/9撮影
 
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【アキノエノコログサ】
幸手市平須賀地内にて 9/1撮影
アキノエノコログサ

エノコログサ(別名ネコジャラシ)にそっくりの1年草。 花穂はやや太くて長めで、先が垂れる。
江の頃草の先は直立しているので、見分けられる。花期は8〜10月。イネ科
   
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【コウヤワラビ】
幸手市神扇地内にて 9/1撮影
コウヤワラビ

コウヤワラビは多年生のシダ植物。日当たりの良い湿地や田の畔などに生える。
シダ植物はふつう胞子嚢を葉の裏側につけるが、コウヤワラビは葉につける。
球状の胞子嚢をつけている棒状の葉が胞子葉。イワデンタ科
   
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【ミズワラビ】
幸手市神扇地内水田にて 9/1撮影
ミズワラビ

1年生のシダ植物。水田、水路、沼池など湿地や田の畔などに生える。葉には二形あり、栄養葉は夏に、胞子葉は開きに出て初冬に熟す。写真には、栄養葉と胞子葉が見られる。胞子葉は鹿の角に似ている。幸手市内には比較的多く見られるが、県版レッドデータブック(2005年版)では絶滅危惧種U類にあげられている希種である。ホウライシダ科
   
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【ミズマツバ】
幸手市神扇地内水田にて 9/1撮影
ミズマツバ

水田・沼など水湿地に生える小型の無毛の1年草。高さ3〜10cm 葉は普通3〜4枚輪生。長さ約1cm、花は葉の根元に1個ずつつく。花期は8〜10月。ミソハギ科 国・県のレッドデータブックには絶滅危惧種U類にリストアップされている希種である。
   
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【アブノメ】
幸手市神扇地内休耕田にて 9/9撮影
アブノメ

ゴマノハグサ科の1年草で、花は8〜9月に咲き、葉腋ごとに1つずつつく。果実は球形。アブノメの和名は対になってつく果実が虻の目のように見えるのでつけらた。減少の要因は、湿地開発、埋め立て、水田の乾田化などがあげられる。
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【アブノメの群落】
幸手市神扇地内休耕田にて 9/9撮影
   
 
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