トンボ・野草研究家の長須房次郎さんが幸手近郊の自然を紹介

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長須 房次郎
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No.33 -1月13日更新-
冬の風物詩〜赤い実をつけている植物〜
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 1月5日は「寒の入り」、2月3日の節分までの約1ヶ月間が「寒の内」。今が一年中で最も寒い時期です。この冬は、長期予報で「暖冬」と言われていましたが、12月の最低気温は戦後最低を記録しました。
 この寒さの中「自然発見」の小さな旅で、いろいろなものに出会いました。今回はこの旅で心に残った「赤い実をつけている植物」〜ヒヨドリジョウゴ、ヤブコウジ、シロダモ、カラスウリ、ナンテン、マンリョウ、ピラサンカ等々の中から・・・・・・いくつかを紹介します。
ヒヨドリジョウゴ Solanum lyratumb
 
ヒヨドリジョウゴ(ナス科)は、野原や丘陵などに生えるナス科のつる性の多年草。長い根茎をもち、先がつる状に伸びる茎を出し、長さ1.5〜4センチの葉柄でほかのものにからまりながら伸びていきます。長さ数メートルにもなります。葉は両面に茎と同じように軟毛が蜜に生えます。
 夏から秋にかけて茎の途中から、または葉と対生して花序を出します。花は直径1センチくらいで、花冠は白色、時には淡紫色で、後に反り返ります。
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【赤い実をつけたまま冬を迎えたヒヨドリジョウゴ】
 幸手市高須賀、青木琢也さん方の屋敷林
17.12/22撮影
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【ヒヨドリジョウゴの赤い実と葉】
幸手市高須賀、青木琢也さん方の屋敷林
 17.12/22撮影
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【生育初期のヒヨドリジョウゴ】
鷲宮町東大輪神社にて  17.12/24撮影
 

  球形の果実は直径約8ミリで、熟すると赤くなり1月になってもみられます。和名は鵯上戸(ひよどりじょうご)と書き、ヒヨドリが好むことにちなんでつけられたといわれます。
 幸手市周辺では果実の生る前に、除草されてしまうのでなかなか赤い実はみられませんが、屋敷林や神社、公園などでみられます。今年は権現堂堤でもみられました。1月には葉がすっかり落ちて赤い実だけが目につきます。

★全草特に果実にソラニン(アルカロイド)などを含み、誤って飲食すると嘔吐、腹痛、呼吸中枢麻痺などが起こるので要注意
 
ヤブコウジ Ardisia japonica

 ヤブコウジは正月には「松竹梅」や「福寿草」とともに、門口に飾られます。赤い果実をつけるヤブコウジ(ヤブコウジ科)は、古くから愛されてきました。万葉集に出てくる「山橘」はヤブコウジのことです。高さ10〜30センチと小さいけれども常緑の木本植物です。晩秋に鮮やかな紅色に熟した果実は、寒い冬の間もそのまま落ちずに残っており、美しいので正月の飾りに使われるようになったのだと思います。ちなみに和名は「藪に生える柑子(ミカン類)」の意味。ヒヨドリジョウゴと違って、常緑ですから葉の緑と赤い実が対照的です。
※茎や葉はベルゲリンを含有して、咳止めや利尿の作用があるため、慢性の気管支炎や肺結核、あるいは腎盂炎などの治療に用いられる。正月の縁起物として床飾りに使われるマンリョウもヤブコウジ科。
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【ヤブコウジ】
鷲宮町東大輪神社にて  17.12/24撮影
 
 
シロダモ Neolitsea sericea

 シロダモ(クスニキ科)は常緑高木で高さ10〜15メートルになります。 雌雄異株で花期は10〜11月、翌年の10〜11月に赤く熟します。 1月5日には花と一緒に前の年の果実がついていました。果実は球状にだ円体で、長さ1〜1.5センチあります。種子から油をしぼって灯火に利用したり、蝋燭用のつづろ蝋をとったりしました。
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【シロダモ】
鷲宮町西大輪地内にて  18.1/5撮影
 
 
ナンテン Nandina domestica

 ナンテン(メギ科)は、「難を転ずる」の意味から、縁起木としてよく庭に植えられる常緑低木です。花期は5〜6月、茎の先に大型の円錐花序を出して白い鼻をつけます。11〜12月に赤く熟し1月になってもついています。ナンテンの果実は南天実(なんてんじつ)と言う生薬で、咳止めの効果があります。果実の白いのをシロミナンテンといいます。
 庭木としてよく植えられているヒイラギナンテンの果実は熟すと黒紫色になります。ヒイラギナンテンは中国から持ち込まれたもので、日本には自生しません。
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【ナンテン】
幸手市中4丁目にて  18.1/5撮影
   
 
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