トンボ・野草研究家の長須房次郎さんが幸手近郊の自然を紹介

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長須 房次郎
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No.41 -9月7日更新-
スベリヒユとスズメウリ
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初秋の山野を歩くと実をつけている植物が目につきます。今回はそれらの中からいくつか紹介することにしました。
 
スベリヒユ(スベリヒユ科)

 スベリヒユは、かんかん照りで乾ききった地面でも、みずみずしい枝葉を広げ、日当たりのよい畑、道ばた、空き地、公園、庭先などに普通に見られる1年草。全草多肉質で無毛。葉はほぼ対性し、丸みを帯びたくさび形。その形が馬の歯に似ている。
 7月から9月にかけて、黄色い小さい花を枝の先に3〜5個付ける。花には柄がなく、花弁は5枚、先がくぼんでおり長さが約4ミリ、おしべは7〜12本で黄色。
 花は日光を受けて開き午後には閉じる。炎天下に咲くこの花は夏の代表的な雑草のひとつ。
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【スベリヒユの群落】
幸手市権現堂地内にて 9月2日撮影
   
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【スベリヒユの花】
幸手市権現堂地内にて 9月2日撮影
 スベリヒユの学名は Portulaca oleracea L.  oleraceaは、食用そ菜の、と言う意味がある。スベリヒユの若い葉や茎はゆでて食べられる。『食べられる山野草』には「ゆがいて水にさらし、辛子じょうゆであえる」「おひたしやあえもの、油いため、汁の実とする」と記されている。ただし多量に食べると下痢を起すことがあるので要注意。
 
 スベリヒユの名は茹でるとぬめりが出ることに由来し、イワイヅル、ヒデリグサ、スベリビ、ツルツル、ヨゴシグサ、トンボグサなどの別名もみなこの草の特徴をあらわしている。ポーチュラカの名で出回っているのはスベリヒユの栽培品種で、花の色は赤、黄、白、オレンジ、ピンクなど様々。花の形も一重咲き、八重咲きなどある。マツバボタン(松葉牡丹)はスベリヒユと同じ仲間で、アメリカ原産。日本へは江戸時代に渡来した。
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【ポーチュラカ】
道の駅あぐりパークにて 8月28日撮影
   
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【未熟な果実をつけたスズメウリ】
幸手市吉野地内にて 8月29日撮影
スズメウリ(ウリ科)

  スズメウリは湿ったやぶや水辺に生える1年草。つる性で茎はごく細くて長さ1〜3メートルに伸びる。葉はやわらかく、形はさまざまで、葉と向かいあって巻きひげがつく。茎の下部が一部肥大した地下茎となって冬を越す。花期は8〜9月。雌雄同株で白色の花が咲き、雄花と雌花の区別がある。果実は球形で直径約1センチ、はじめ緑色で熟すると灰白色に変わり、液質、表面は滑らかで細い糸のような長さ2〜2.5センチの柄で垂れ下がる。かつては水田地帯に最も普通な植物だったが、現在では珍しい種になっている。
 雀瓜の名は、小型の果実をスズメまたはスズメの卵に見立てて名付けられたといわれる。
   
 果実は塩漬、または酢漬にして食べられる。
 似た種類のゴキヅルは、果実が横に裂けて上下に分かれ、上半分がふたのようにとれる。
それを碁石入れなどのかぶせ蓋の容器に例えて合器蔓(ごきづる)の名がある。
 ゴキヅルは県のレッドデータブックには絶滅危惧U類にリストアップされている。幸手市内には中川畔に見られるので別の機会に紹介したい。
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【花をつけたスズメウリ】
幸手市吉野地内にて 8月29日撮影
   

ノブドウ(ブドウ科)

 ノブドウは空き地や野原に普通に生える。つる性で茎の基部は木質になり太いものは4センチくらいになる。つるは長くのびてジグザクに曲がる。葉と対生して二またにわかれた巻きひげがある。7〜8月、葉に対生して花序を出し小さな花を多数開く(花は淡緑色で直径約3ミリ)。

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【遊水池のフェンスに絡みついたノブドウ】
杉戸町にて 8月29日撮影
 
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【果実をつけたノブドウ】
杉戸町にて 8月29日撮影


 
果実は直径6〜8ミリの球形、淡緑色から紫色をおび碧色になる。が食べられない。ブドウタマバエやブドウガリバチなどの幼虫が寄生して虫えい(むしこぶ)になり異常に膨らんでいるものがある。
   
エノキ(ニレ科)

 エノキは山地に自生するが、庭木や公園樹としても植えられている。花は4〜5月に咲き、若い果実は黄色、熟すると赤褐色になる。果肉は赤く甘みがあり、干し柿に似た味がするが水分は少ない。ゴマダラチョウやオオムラサキの幼虫は葉を食べる。エノキの名前の由来は、器具の柄に利用されるから「柄の木」、よく燃えるので「燃え木」の名がつき、転訛してエノキになったとか、いろいろな説がある。
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【実をつけたエノキ】
杉戸町にて 8月29日撮影
   
 
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【ヘクソカズラの花】
幸手市吉野地内にて 8月30日撮影
ヘクソカズラ(アカネ科)

 ヘクソカズラは荒れ地や草やぶ、林の周りなどに生えるつる性の多年草。生垣や庭木にもまつわりついて生える。7〜9月の間葉の付け根に長さ1センチほどのつりがね状の美しいはなをつけます。それなのにヘクソカズラ(屁糞葛)とは。茎や葉、熟した実を含め、全体に悪臭があるのでやむをえないが・・・。花の外側は白く、内側が赤紫色で、灸をすえた跡に似ているので灸花(ヤイトバナ)の名もある。若い葉は天ぷらにして食べられる。実をつぶした汁は、しもやけ、ひび、あかぎれなどに効く。
 
 
   
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