トンボ・野草研究家の長須房次郎さんが幸手近郊の自然を紹介

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長須 房次郎
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No.42 -10月5日更新-
蜜蜂・藤袴そして刈田道
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 8月末から始まった稲刈りも終わり、幸手市域の田んぼは一面刈田になりました。イネを刈り入れ終わったあとの田んぼを刈田といい、俳句では秋の季語になっています。今回は刈田とその周辺で見られる植物や蜜蜂・藤袴なその話題を取り上げました。
 
ニホンミツバチ(日本蜜蜂)の分封(分蜂)

 9月12日の午後、五霞町原宿台の小野寺四郎さんから「ミツバチが我が家の庭に巣を作ったんですよ」という電話を頂きました。
  8月5日午後3時50分頃、ミツバチの大群が小野寺さん宅に飛来。三ヶ所に団子状になった集団が軒先のハンギング鉢の下で一ヶ所になり巣づくりを始める。9月12日には直径約12センチ、長さ約13センチの筒型の巣になっていた。よく似ているセイヨウミツバチかどうか調べたところニホンミツバチでした。新しい女王蜂が生まれての巣わけ(分封)でした。8〜9月頃にはこうした巣わけが行われます。
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【ニホンミツバチの巣】
五霞町原宿台の小野寺さん宅にて 9月12日撮影
※今、スズメバチの活動が活発になる時期です。スズメバチは黒色が好きなようです。野原を散策する時には、帽子は白、衣服も黒は避けましょう。
 
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【フジバカマの群落と「フジバカマお守り隊」のみなさん】
権現堂堤にて 9月26日撮影
フジバカマ(藤袴)

 権現堂堤の一角にある野生のフジバカマが、今年は見事に咲きました。是非一度見学してください。ここは幸手市域では唯一の自生地です。全国的にも少なくなってきた野生のフジバカマを守ろうと「フジバカマお守り隊」(幸手自然愛護会会員)の皆さんが、定期的に周囲の雑草の刈り取りなど自生地の保護活動を続けています。
※フジバカマの解説は「房ちゃんの自然発見No.18」参照
 
刈田道の植物
 稲を刈り終わったあとの田んぼとその周辺にはツユクサ、タカサブロウ、イボクサ、ヒメミソハギ、チョウジタテなど様々な野の花が見られます。この爽やかな秋の季節、刈田道の散歩もまた楽しいものです。歩いてみませんか。
 
タカサブロウ

 タカサブロウは田んぼのあぜ道や休耕田などの湿地に生えるキク科の1年草。茎はよく枝を分け、硬い毛が生え高さ60センチ前後。花期は7〜10月、黒胡麻のような実をつける。薬効成分があり血尿や血便の止血や、ただれ目の治療に使われる。名前の由来はただれ目治療用のタタラビソウが転じたのではないかという説がある。おひたしとして食用にもなる。三代将軍家光はことのほか好んだとか・・・。
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【タカサブロウ】
幸手権現堂地内にて 9月21日撮影
   
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【ツユクサの群落と花】
幸手市児童館周辺にて 10月1日撮影
ツユクサ(露草)

  ツユクサは道ばたや荒れた畑などに普通に見られるツユクサ科の1年草。昔から人々に親しまれ、万葉集にはツユクサを詠んだ歌が9首もある。万葉集では鴨頭草と書かれている。ツユクサの色を縹色(はなだいろ)ともいい縹草はツユクサの異名になっている。この色素は友禅を書くのに使われる。若芽は食用になる。ホタルグサ、ハナガラトンボグサの方言名もある。
   
イボクサ(疣草)

 イボクサもツユクサ科の1年草。沼のまわりや湿地、水路、休耕田などに生える。花期は9〜10月。花の色は白色〜淡紅色で、一日でしぼむ。イボクサの由来は昔この草をイボとりに使ったことによる。イボトリグサともいわれる。
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【イボクサの花】
幸手市児童館周辺にて 10月1日撮影
   
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【花をつけているコナギ】
幸手市下宇和田地内水路にて 10月1日撮影
コナギ(小菜葱)

 コナギは青紫色の直径約2センチの花が咲くミズアオイ科の1年草。昔から水田や休耕田、水辺などで普通に見かける代表的な雑草。葉の形は心臓形だが、水が深いと葉が狭くなりササナギと呼ばれる。ブラジル原産のホテイアオイも同じ仲間。葉柄が布袋様の腹の様に膨れ浮き袋になっている。
   
ヒメミソハギ(姫禊萩)

 ヒメミソハギはミソハギ科の1年草。埼玉県のレッドデータブックで準絶滅危惧種にリストアップされている稀種。盆花として親しまれているミソハギに似ているが高さ20〜30センチと小さいのでヒメミソハギの名がある。ミソハギは禊萩(みそぎはぎ)の略。
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【ヒメミソハギ】
幸手市権現堂地にて 9月21日撮影
   
   
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