トンボ・野草研究家の長須房次郎さんが幸手近郊の自然を紹介

No.55 -11月16日更新-
花穂で見分けるススキの仲間
※写真をクリックすると大きな画像がご覧になれます
 イネ科植物は「花が咲いた」と言わずに「穂が出た」と言っていますが、この穂のことを「花穂(かすい)」と言います。花穂の様子は種類によってみな違います。今回は秋深くなって見られるススキの仲間の花穂を集めてみました。
 秋といえば真っ先に思い浮かぶのはススキ。ススキは「尾花」の名で秋の七草のひとつとして昔から親しまれてきました。十五夜の月見には欠かせませんね。しかし、オギをススキと思い込んでいる場合もあるようなので、今回は花穂を焦点にあててみました。なお、今回紹介する植物はこのシリーズ、No.8、18、20、30で登場していますので参照してみてください。
クリック
ススキ
鷲宮町上内地内にて11月7日撮影
 ススキ(薄または芒)は草原に普通に見られる大型の多年草。茎は根元から多数集まって出て、写真のような大きな株になるのが特徴です。葉のへりは、手が切れるほどざらつきます。小穂の基部には小穂とほとんど同じ長さの白毛が生えています。小穂の先には長いノギがあります。
 
 オギ(荻)は川岸や池、沼のへりなどの湿地に生える多年草で、一見ススキのように見えます。が、根茎が長く横に伸び、茎は1本づつ立って、ススキのように大きな株になることはありません。ススキの写真と比べてみてください。小穂の基部の白毛は小穂の3〜4倍で、銀白色をしており、小穂にはノギがないのでススキと見分けられます。

※幸手市域には江戸川、中川、倉松川がありしかも水田地帯ですから水路が多いのでススキの自生は少なく、オギが多いのが特徴です。(No.8、20参照)
クリック
オギ 
幸手市緑台地内倉松川左岸にて 11月6日撮影
   
クリック
セイバンモロコシ
幸手市大字幸手地内にて 11月6日撮影
 ヨーロッパの地中海流域の原産と言われる帰化植物。多年生草本で、強壮な根茎を引いて群生し、茎の高さ0.5〜2mになります。荒地や端、堤防などに見られる強害雑草で幸手市域では昭和40年頃から見られるようになり、10年前頃から急激に分布を広げています。モロコシ(蜀黍)の仲間で西の方から伝わってきたので、セイバンモロコシ(西蕃蜀黍)の名が付けられたようです。(No.18参照)
   
 ヨシは湿地、河川、池沼などの止水域で大きい群落をつくる大型の多年草。高さ1〜3mの茎を立て、花序は大きな円錐形で長さ15〜40cm、多数の淡紫色に染まった小穂を付けます。葉で「ささ舟」をつくる。アシが「悪し」に通じるのを嫌ってヨシと呼ばれるようになったといわれます。水質浄化作用があり、名前も葭(よし)、蘆(あし)、葦(よし)などと変化。
クリック
ヨシ
鷲宮町上内地内にて 11月7日撮影
クリック
ヌカキビ
幸手市天神島地内にて 11月6日撮影
 休耕田などの湿地に群生する一年草。茎は高さ30〜80cm、花穂は大きくて長さ12〜30cm、枝は横に広く開いて先が垂れ下がり、まばらに小さな小穂をつけます。小穂は淡緑色、ときに暗い紫色をおびる。似た種類のオオクサキビ(北米原産)は荒地に帰化しています。
   

 メヒシバ(雌日芝)は畑や道ばたに普通に見られる一年草。似た種類のオヒシバ(雄日芝)も道ばたや荒地に普通に見られる一年草。枝分かれしている花穂がオヒシバは太く、メヒシバは細いのが特徴。
クリック
メヒシバとオヒシバ
幸手市大字幸手地内にて11月6日撮影
 
クリック
エノコログサ
幸手市大字幸手地内にて 11月6日撮影
 「ねこじゃらし」で親しまれているエノコログサは道ばたや畑地に普通に見られる一年草。ススキなどとは違って、円柱のような花穂。似た種類に、アキノエノコログサ、キンエノコロ、コツブキンエノコロ、オオエノコロなどがあります。
   

クリック

幸手市大字幸手地内にて 11月6日撮影
   
クリック
メマツヨイグサ
杉戸町杉戸遊水地付近にて 11月6日撮影
 この植物はイネ科でないことはひと目で分かると思います。道ばたや荒地などで夏の間黄色い花を咲かせていたメマツヨイグサ(アカバナ科)。北米原産の二年草で、最近急激に増えている帰化植物です。
   
   
前へ
トップページへ
 
 
タウンナビ幸手・久喜は有限会社サポート・ユウが運営しています。
Copyright (c) 2002. Support YOU Corporation. All rights reserved.