トンボ・野草研究家の長須房次郎さんが幸手近郊の自然を紹介

No.46 -2月7日更新-
石垣や樹の幹に生える植物
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 ノキシノブ(軒忍)
 見たことありませんか?樹木の幹に生えている緑色の植物。
「いやー、ブロック塀にもそんなのありますよ」「石垣に生えているのを見ましたよ」とおっしゃる方もいるかと思います。 枯れ木に花?いやいや違います。葉が落ちて枯れ木同然になった樹木の幹に何やら異様なものがついているのを散歩の途中で出会ったことがある方も多いかと思います。そんな事気付かなかった方、散歩しながら柿に木などの樹木の幹をよく見てください。樹木とは別種の植物が付着していることがあります。その名はノキシノブ、漢字では「軒忍」と書きます。ノキシノブは(ウラボシ科)はシダ植物の一種です。
 シダ植物といえばワラビ、ゼンマイ、ツクシなど食べられるものやシノブのように観葉植物として知られるもの、正月の飾りに使われるウラジロなど生活にかかわりの深い植物です。

 シダ植物に共通していることは花が咲かず、種子が出来ない。その代わり胞子が出来てその胞子で仲間を殖やしていることです。ノキシノブは常緑性で1年中緑色をしています。根、茎、葉がはっきり分かれていますが花は咲かず、もちろん種子も出来ません。では、胞子はどこに出来るのでしょうか?

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【ノキシノブの着生している柿の古木】
幸手市上宇和田地内にて 1月28日撮影
 
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【胞子嚢群の見えるノキシノブ】
幸手市上宇和田地内にて 1月28日撮影
 胞子が生じそれを収めている嚢状の生殖器官を胞子嚢といい、胞子嚢が集まったものを胞子嚢群といいます。ノキシノブの胞子嚢群は葉身の上半部、裏側につき円形でやや大型。写真で褐色になっているところが胞子嚢群です。ノキシノブは普通種で樹幹や岩の上など様々な状態で見られます。和名の「軒忍」は、わら葺きの民家の軒などによく見られたことにより付けられました。
 
 
 イノモトソウ(井の許草)
 イノモトソウ(イノモトソウ科)も常緑性のシダ植物です。東北地方の南部から沖縄県まで分布し、人家周辺の路傍や石垣などによく見られます。深林中に生育することはほとんどありません。人間生活によってかく乱の進んだ環境に普通に見られます。幸手市周辺では水田地帯を流れる水路の両岸によく見られます。和名の「井の許草」は井戸の石組みによく生えることによります。
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【農業用水路のイノモトソウ】
幸手・上吉羽地内にて 1月31日撮影
 水路の護岸コンクリートの隙間から葉を伸ばしているイノモトソウ。 水路の両側にしっかり根付いていました。
   
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【倉松川護岸の石垣の中に生えているイノモトソウ】
幸手・中5丁目地内にて 1月28日撮影
 写真中央に見えるのがイノモトソウ
   
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【護岸の隙間から生育しているイノモトソウ】
幸手・上吉羽地内にて 1月31日撮影
水面に見えるのはセリの群落
   
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【イノモトソウの胞子葉】
幸手・上吉羽地内にて 1月31日撮影
  ノキシノブは葉の裏側に胞子嚢群が出来ますが、イノモトソウは胞子葉と栄養葉の2形あります。栄養葉は幅が広く葉のふちには 鋸歯(ギザギザ)があります。胞子嚢群は胞子葉の葉のふちの裏に出来ます。路上に黒く写っているのはイノモトソウの胞子葉の影です。
   
   
*こちらは終了しました*
◆◆久喜市域の野草写真展ご案内◆◆◆

《と き》 2月14日(水)〜20日(火)午前9時〜午後8時
※但し14日は午後1時から・20日は正午まで
《ところ》 久喜市中央公民館  久喜駅より徒歩5分
(久喜市中央4-7-7 TEL0480(21)1550)
《内 容》 「久喜自然観察クラブ」の会員が撮影した久喜市とその周辺に自生する野草オグルマ、カキドオシ、ヤブカンゾウなど60点にそれぞれ解説をつけて展示
《問合せ先》
久喜自然観察クラブ会長
長須房次郎 0480(42)2044

久喜自然観察クラブHPhttp://www.geocities.jp/kibori313/
   
   
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