トンボ・野草研究家の長須房次郎さんが幸手近郊の自然を紹介

No.61 -4月28日更新-
トンボ誕生 春から初夏へ
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トンボの宝庫
4月22日 杉戸町杉戸地内にて撮影
 県営権現堂公園の桜もすっかり葉桜となりました。あれだけ賑わった桜堤も嘘のように静かになりました。
 4月22日の昼前、杉戸町杉戸の遊水池を訪ねてみました。池の中には鯉や鮒が見られました。が、ハスはまだ眠りから覚めていませんでした。ヨシ、ヒメガマもようやく芽生えたところ、池の周囲にはカラスノエンドウ、スズメノエンドウ、キュウリグサなどの野草が咲いていました。草むらを探してみると、なんと小さなトンボが姿をみせてくれました。季節は春から初夏へと変わりつつあります。今回はそんな身近な自然を取り上げてみました。
 
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クロイトトンボ♀
4月22日 杉戸町杉戸の遊水池畔にて撮影
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クロイトトンボ♂
4月22日 杉戸町杉戸の遊水池畔にて撮影
 クロイトトンボは、県内では平地や低山地の池沼や湿地に見られるイトトンボ科の1種で、大きさは約3p、4月下旬から10月中旬までみられます。
私の観察記録では、もっとも早い記録は4月29日(北川辺町)でした。今年は4月22日ですから1週間早く羽化したことになります。この日、ほかにも羽化したばかりのアジアイトトンボもいくつかみられました。今年もチョウトンボなどたくさんのトンボがみられそうで楽しみです。過日、「わしみや自然保護ボランテイア会」の辻威男さんから、鷲宮町立桜田小学校の池で、ギンヤンマが4月21日に羽化したという連絡をいただきました。この記録も10日ほど早くなっています。温暖化が進んできたのでしょうか。
 池の周りにはカラスノエンドウとスズメノエンドウが群生しており、そのなかに羽化したばかりのトンボが翅が十分乾くのをまっていました。
   
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左スズメノエンドウ 右カラスノエンドウ
4月22日 杉戸町杉戸の遊水池畔にて撮影
 カラスノエンドウ(烏野豌豆)は、熟した莢が黒色になることをたとえたものです。小葉の先が矢筈に似ているのでヤハズエンドウともいわれます。変異が著しく、巻きひげがないものをツルナシカラスノエンドウ,小葉が細いものをホソバカラスノエンドウ、白花のものをシロバナカラスノエンドウと区別しています。スズメノエンドウ(雀野豌豆)は、葉や花が小形であることからスズメの名がついています。花も莢も葉もカラスノエンドウとスズメノエンドウの中間型をしている植物をカスマグサと言います。草原を探してみませんか。 
 
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畦を黄色に彩る野草
4月22日 杉戸町大島地内にて撮影
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オオジシバリ
4月22日 杉戸町大島地内にて撮影
 田の畔に黄の絨毯を敷き詰めたように花が咲いていました。タンポポがこんなところにも…と思って近づいてみると、なんとオオジシバリ(大地縛)の群落でした。
「地縛り」は茎が地面に縦横にはりついていることからその名があります。 タンポポに似ていますが、花茎は直立し、2〜3回枝分かれし、その先に花をつけるので見分けられます。ジシバリは葉も花も小さく、日当たりのよい畑や道ばた、空き地などに生え、イワニガナの名前があります。最近幸手周辺では少なくなっています。
 
フラサバソウとムラサキケマン
 野鳥の宝庫といわれる鷲宮町のJR東鷲宮の駅近くある桜田3丁目の沼井公園に、フラサバソウが群生していました。
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フラサバソウ
4月21日 鷲宮町沼井公園にて撮影
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ムラサキケマン
4月21日 鷲宮町沼井公園にて撮影
フラサバソウ(ゴマノハグサ科)は、一見イヌノフグリを思はせるような2年草で、ヨーロッパ原産の帰化植物。幕末に日本で植物採集したフランス人のフランシェとその採集品を研究したサバチェの日本植物目録(1875)に、長崎で採集された記録がありながら存否が分からずにいました。それを奥山春季先生が確かめフランシェとサバチェの両氏を記念してフラサバソウと命名されました。関東地方より西の各地に多く分布しておりますが、県内では少ないようです。昨年久喜市内でもかくにんされました。
ムラサキケマン(ケシ科)は林縁や竹林の下などの半日影の場所や、しめった畑地の近くなどに生えるやわらかい感じの野草。やわらかそうに見えるので食べてみたくなりますが、毒草です。食べたら危険です。誤って飲食すると呼吸や心臓が麻痺する危険性があるといわれます。全草に作用の激しいアルカロイドを含んでいるからです。ムラサキケマンはケシ科の植物。
 
オオカワヂシャとセリ
 幸手市内の水田地帯を歩きました。水路にはいろいろな野草がみられました。ここではセリとオオカワヂシャを紹介します。
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オオカワヂシャ
4月22日 幸手市大字幸手地内にて撮影
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セリ
4月22日 幸手市大字幸手地内にて撮影
 オオカワヂシャ(ゴマノハグサ科)は、ヨーロッパ原産の帰化植物で、在来種のカワヂシャ(絶滅危惧種)と比べると全体に大きいので見分けられます。県内特に県東地域の記録は少なく、幸手市内でも今までは江戸川河畔の記録だけでした。セリは春の七草の一種。現時点での様子をここに紹介します。今年は、開花したときにまた紹介したいと思っています。
 
◎こちらは終了しました◎
◆幸手自然愛護会ふれあいウォークのご案内◆

《と  き》 5月4日(日)午前9時30分集合
 解散予定は午後2時頃 小雨決行
《内 容》 なんじゃもんじゃ見学&権現堂堤・高須賀池周辺の自然探索
《集合場所》 幸手市北公民館 (幸手市内国府間867) 
《講 師》 ・「NPO法人自然観察指導員埼玉」指導員
・幸手自然愛護会 長須房次郎会長
《参加費》 200円(保険代含む)
《参加について》
会員以外の方も歓迎します。弁当・飲み物・雨具・筆記用具・持っている人はルーペ持参
《申込み・問合せ先》
幸手自然愛護会 副会長 和泉次利 0480(42)4397
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