トンボ・野草研究家の長須房次郎さんが幸手近郊の自然を紹介

No.62 -5月27日更新-
ご存じですか 「金銀花」
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木に絡まって咲くスイカズラ
5月18日 杉戸町内にて撮影
 ゴールデンウィーク、皆さんどんな体験をされましたか。5月4日、幸手自然愛護会主催の「ふれあいウオーク〜 なんじゃもんじゃ見学&権現堂堤・高須賀池周辺の自然探索〜」には小学生を含む35名が参加、「雪の花」の名にふさわしい「なんじゃもんじゃ」を満喫、高須賀池では芝生で弁当を食べながら交流をはかりました。私は5月6日、日帰りバスツアーで箕郷の芝桜、大清水の水芭蕉などを見学しました。
今回は、5月下旬から6月上旬、身近に見られる植物をとりあげてみました。  まずは、「金銀花」。写真でお分かりのように、一つの枝に白花と黄花が混じって咲くのでこの名があります。が、和名はスイカズラ(スイカズラ科)です。
 
 スイカズラは、日当たりのよい林の縁や道ばたの藪、垣根などに生育し、地下茎で殖えるつる性の低木で、花筒の奥に蜜がたまっていて吸うと甘いのでスイカズラとよびます。 ※カズラ(葛)は蔓草の総称。
花期は5月下旬から6月。葉は長だ円形または卵状だ円形で、裏側の脈上に毛があります。葉は散らず、外側に巻きあがって冬を越します。冬でも葉の一部が残っているのでニンドウ(忍冬)ともいわれます。花はその年に伸びた枝の葉のつけ根に、かならず2個ずつ対になって咲きます。(写真参照)
スイカズラは、漢方薬としても知られ、茎や葉を乾燥したものを「にんどう忍冬」、花を「金銀花」といって、煎じて解熱、解毒薬などにします。また、風呂に入れて入浴すると体が温まり痔の痛み、腰痛、関節炎などによいといわれます。
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左の写真は、黄、白の花が、右の写真には黄の花が咲いている。いずれも付け根から2個ずつついているのがわかる。花は初め淡い桃色を帯びた白で後に黄色になる 5月18日 杉戸町内にて撮影
果実は、2個ずつ並んでつき、秋には黒く熟し、中に数個の種子がある。
   
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花の咲き始めたセンダンの大樹
久喜市青毛地内にて 5月21日撮影
 次はセンダン(栴檀)別名 オウチ
センダン(センダン科)は、暖地の海岸近くに自生。緑色をした軟らかな大きい涼しげな羽状複葉と藤色の花が美しく、学校や公園などによく植えられ、街路樹にも利用されます。開花期は5〜6月ごろ、本年枝の基部の葉腋から長さ10〜15pの集散花序をだし、淡紫色の花を多数つけます。俳句では夏の季語。この花が散るとまもなく梅雨がやってきます。
 
 センダンは、古くは「あふち」「おうち」「楝」といい 「万葉集」「枕草子」「蜻蛉日記」「太平記」「徒然草」など多くの文献にその名が見られます。
果実や樹皮は駆虫剤に、生の果肉はひびやしもやけに効くといわれ、花や葉を殺虫剤として利用することもあるといわれます。材は家具財などに使います。
※「栴檀は双葉より芳し」の栴檀は、ビャクダン科のビャクダンのこと。本種にはビャクダンほどの芳香はありません。ビャクダンの中国名「栴檀」を誤って「せんだん」と読んだところからきています。
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センダンの花
久喜市青毛地内にて 5月21日撮影
 
身近な野草3種 ツバナとヤクナガイヌムギ
  センダンが咲くころには、日当たりのよい草地や荒れ地、川原や土手などに群生するイネ科のチガヤ(茅萱)の花穂が白い絮をつけます。チガヤの若い花が、まださやの中にあるものは甘味があり、ツバナ(茅花)と言って食べられます。チガヤの地下茎や茎に甘みがあるので、私も子供のころツバナをしゃぶったり、地下茎をかじった思い出があります。六月祓に用いる茅の輪は、チガヤを紙で包み束ねて輪の形に作ったものです。このころ吹く南風を「茅花流し」と言い俳句では夏の季語になっています。
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ヤクナガイヌムギ
5月20日 幸手市中5丁目地内にて撮影
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ツバナ(チガヤの花穂)
5月20日 幸手市中5丁目地内にて撮影
 イネ科のイヌムギ(犬麦)は南アメリカ原産の帰化植物で県内では、丘陵地から低地にかけてみられます。花期は5〜8月。これによく似た同じくイネ科のヤクナガイヌムギ(北アメリカ原産)が最近多く見られるようになりました。写真で分かるように、開花時には黄色い葯をうけた3本の雄蕊が垂れ下がるのが特徴です。
 
カニツリグサ
  カニツリグサ(イネ科)は、平地の道ばたや草原に生える多年草。この写真は久喜市青毛の葛西用水右岸で撮影したものです。カニツリグサの名前の由来は、子供がこの穂を水辺の穴に差し込んでカニ(蟹)を釣った遊びによるといわれます。穂をよく見ると、護頴(ごえい)の先が深く二つに割れ、その間から伸び出したノギが急に下方に反り返っているのがわかります。花穂の写真で確認してください。子供たちはこの特徴を知っていて蟹釣りに使ったのではないでしょうか。
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カニツリグサ
5月21日 久喜市青毛地内の
葛西用水右岸にて撮影
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カニツリグサの花穂
5月21日 久喜市青毛地内の
葛西用水右岸にて撮影
ミズバショウとなんじゃもんじゃ
 ミズバショウ(水芭蕉)はサトイモ科の植物で、白くみえるのは 花を包んでいる仏炎苞。「なんじゃもんじゃ」はヒトツバタゴ(モクセイ科)の別称。詳細は房ちゃんの自然発見No.26を参照。
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水芭蕉
5月6日
大清水にて撮影
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なんじゃもんじゃ
5月8日
幸手市外国府間町田英夫氏宅にて撮影撮影
 
 
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