トンボ・野草研究家の長須房次郎さんが幸手近郊の自然を紹介

No.63 -6月25日更新-
梅雨時の花
※写真をクリックすると大きな画像がご覧になれます
去る6月15日(日)、渡良瀬遊水地を訪ねました。今回は、このとき出会った植物数種を中心に梅雨時の植物などについて紹介します。
 
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ドクダミの群落
6月15日撮影 板倉町にて
 ドクダミ
 東武日光線板倉東洋大前駅を降りて間もなくドクダミ(の大群落に出会いました。北側斜面を埋めたドクダミの白い花の素晴らしさに感動しました。
 ドクダミはどこにでもある雑草。すごい繁殖力とドクダミ独特のいやな悪臭で嫌い! という方が多いと思います。が、なんと2000年も前から薬草として使われてきた、私たちの健康とかかわりの深い植物のひとつです。ドクダミ科の多年草で、梅雨のころ平地の湿った日蔭や庭の隅などに群がり生えます。
 右の写真で分かるように、白い4枚の花びらのように見えるのは、植物学的にいうと総苞(そうほう)で、この中心にある太く短い黄色の穂が小さな花の集まりで、全体が一輪の花のように見えるのです。小さな花には、がくも花びらもなく、雄蕊と雌蕊しかありません。
ドクダミは、古くから全草を煎じたりして、民間薬として用いてきたことから「毒痛み」「十薬」(じゅうやく)ともいわれます。十薬という名前は、10項目ものたくさんの薬効があるということからきているといわれます。つまり、ドクダミは多くの効能を持っている薬草であるという意味だと思います。ドクダミ
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ドクダミの花
6月15日撮影 板倉町にて
 
 アカメガシワ
渡良瀬遊水地の水辺には花をつけているアカメガシワ(トダイグサ科)が目につきました。アカメガシワは山野に普通に見られる樹木で、高さ5〜10mになります。昔はこの葉をカシワと同じように食べ物をのせるのに使い、新芽が赤いので赤芽槲の名前があることは、本シリーズNo.40で紹介してあります。本種は雌雄別株、花にはドクダミと同じように花弁がありません。よく見ないとどちらが雄花か雌花か分かりにくいですが写真でたしかめてください。
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アカメガシワ ♂
6月15日 渡良瀬遊水地にて撮影
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左アカメガシワ ♀
6月15日 渡良瀬遊水地にて撮影
   
イチョウウキゴケ
 北川辺の道の駅から柳生駅に向かって歩いていた時、水田の中に群生しているイチョウウキゴケを発見しました。ウキゴケ科(苔類)のイチョウウキゴケは、日本全土に分布、埼玉県レッドデータブックには絶滅危惧U類にリストアップされている稀少種。植物体は扁平、質は厚く、緑だがしばしば赤みを帯びる。長さ1〜1.5p、幅4〜8mm、2叉状分枝を繰り返し、密生してイチョウの葉形になるのでイチョウウキゴケの名があります。かつては県内に広く分布していたが、湿地開発、宅地造成、農薬散布などの影響で減少しています。写真のなかの小さな植物は、ウキクサ科のアオウキクサです。
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イチョウウキゴケの群落
北川辺町の水田にて 6月15日撮影
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イチョウウキゴケ
北川辺町の水田にて 6月15日撮影
 
〜幸手地域で見られる帰化植物〜 その6
 
キキョウソウとハナヤエムグラ
 キキョウソウは北アメリカ原産の1年生草本で、春から夏にかけて葉腋に数個の5深裂の花を着けます。茎は直立して下部でまばらに枝分かれして60pほどになります。花は通常紅紫色ですが、白色から濃紫色まで変異します。古くは観賞用に栽培されたことがありますが、1940年代に東京で帰化状態にあることが確認され、現在では東北南部以南に広く分布し、道ばた、芝生になどに普通に発生します。果実は円筒形で先にがく片が残り,熟すと横に3個の穴があいて、子房の壁があげぶたのような形で穴を覆います。英語でVenus looking -glass とよぶのは、このあげぶたつきの穴から生まれた名であろう。といわれています。
 この写真は、平成20年6月4日に、江戸川右岸の河川敷地で撮影したものです。ここには10数株みられました。江戸川畔には、ミゾコウジュやカワラニンジン、ミコシガヤなどの植物もみられました。生い茂ったヨシ原からは、賑やかに囀るオオヨシキリの声が聞こえ、空からはヒバリのさえずりも聞こえました。
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キキョウソウ 別名ダンダンギキョウ
 
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ハナヤエムグラ
6月17日撮影 杉戸町杉戸にて
 ハナヤエムグラはヨーロッパ原産のアカネ科の2年生草本。茎は基部からよく枝分かれして地表を這い、高さ 60cmほどになります。
茎は4稜で、稜上に下向きの刺があります。葉は4〜6枚輪生。春から夏にかけて枝の先に8枚の苞葉に包まれた花序をだし、長さ1cmほどの筒状で先端の4裂した淡紅色の花を数個着けます。1961年に千葉県習志野市で見出され、その後も関東、東海地方で畑などに発生しています。
 
◎こちらは終了しました◎
◆文化講演会のご案内◆

《と  き》 7月6日(日)13時30分〜15時
《と こ ろ》 鷲宮町立図書館 視聴覚ホール
《講 師》 日本蜻蛉学会会員 長須房次郎さん
《演 題》 「トンボと自然」
《申込み・問合せ》
鷲宮町立図書館(電話0480-58-1002)※電話申込み可

◆ふるさとのトンボ 写真展のご案内◆
《と  き》 7月2日(火)〜31(木) 午前10時〜午後6時
※但し7日(月),14日(月),22日(火),23日 (水),25日(金).28日(月)を除く
《と こ ろ》 鷲宮町立図書館 展示コーナー(玄関ホール)
 東武線鷲宮駅より徒歩15分 JR東鷲宮駅より徒歩25分
《問合せ先》
鷲宮町立図書館(電話0480-58-1002)
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