トンボ・野草研究家の長須房次郎さんが幸手近郊の自然を紹介

No.64 -7月23日更新-
珍しいトンボ採っちゃった!
幸手市の主婦 山木さん
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「珍しいトンボを採ったんですが…」という電話を頂きました。「どんなトンボですか?」との質問に、「オニヤンマに似ているんですが、少し小さいんで……今までこんなトンボを見たことないんですよ!」「この年までこんなトンボ見たことがなかったのでお電話しちゃったんですよ」と、いうことでした。 
 去る7月13日のことでした。電話をくださったのは、幸手市緑台在住の山木里子さん。電話でトンボの大きさや体色などお聞ききしましたが、種の特定ができませんでしたので直接山木さん宅まで出かけました。トンボは7月13日の午前10時ころ部屋の中に飛び込んできたということでした。よく調べてみたところこのトンボは、幸手市内では初記録のネアカヨシヤンマの♀であることが分かりました。
 
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ネアカヨシヤンマを手に山木里子さん
7月15日 幸手市緑台の山木さん宅前にて撮影
  ネアカヨシヤンマは、腹長♂54〜59mm、♀55〜63mm、後翅長46〜53mm。♂♀ほぼ同長。アオヤンマによく似て腹部がくびれず、ずんぐりした体形のヤンマ。アオヤンマに比べて体がひとまわり大きく、成熟すると複眼が青藍色に輝く。前翅の基部が鮮やかなオレンジ色を呈して翅端に褐色斑がある。(右下写真参照)
 ちなみに、今回採集されたネアカヨシヤンマ(♀)の腹長は60mm、後翅長は53mm。 ネアカヨシヤンマは関東、・信越地方から宮崎県まで記録がありますが、産地は極めて限られています。
 埼玉県内では、中川・加須低地から丘陵地にかけて生息地が点在することが知られていますが、幸手市での記録はありませんでした。『埼玉県レッドデータブック2008動物編』には準絶滅危惧にリストアップされている稀種です。
 幼虫はヨシやマコモ、ガマなどが繁茂した沼地に生息しますが、今回採集されたのが、どこの沼地かは確定できませんでした。
和名のネアカヨシヤンマは、翅の基部がオレンジ色をしていて、ヨシ原にすむという特性を組み合わせてつけられました。
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ネアカヨシヤンマ♀
7月13日 幸手市緑台の山木さん宅にて撮影
 
オオセスジイトトンボ  今年も健在
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オオセスジイトトンボ♂
7月12日 杉戸町杉戸遊水地にて撮影
 平成18年7月に生息が確認された絶滅危惧T類にリストアップされているオオセスジイトトンボの調査を引き続き調査していますが、ことしも生育が確認されました。が、個体数は少ない感じがします。この写真は7月12日に撮影したものです。この日、午前9:30〜10:20の間に次の7種が確認できました。        
セスジイトトンボ、ベニイトトンボ、クロイトトンボ、オオセスジイトトンボ、ショウジョウトンボ、シオカラトンボ、チョウトンボ。
   

   
ヤブカンゾウ、セリの花
 房ちゃんの自然発見No.61(4月28日更新)で、オオカワヂシャとセリを紹介しましたが、セリは開花していませんでした。今回は開花しているセリを紹介します。
 撮影地は久喜市所久喜。備前堀川と備前前堀川とが並行して流れている場所で、二つの川の間の土手を通称「中土手」と呼んでいます。 中土手には久喜自然愛好会の皆さんの野草保護活動を進めている場所があります。ここのヤブカンゾウの群落も見事に花をつけていました。今回は、この周辺で見られた野草数種を紹介します。
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セリの花
7月13日 久喜市所久喜の「中土手」にて撮影
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ヤブカンゾウ群落
7月13日 久喜市所久喜の「中土手」にて撮影
 
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ヤブカンゾウの花
7月13日 久喜市所久喜の「中土手」にて撮影
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ワラビの群落
7月13日 久喜市所久喜の「中土手」にて撮影
 ヤブカンゾウ(ユリ科)はキスゲの仲間で、人里近くに生える多年草で川の堤防などに多く梅雨明けのころ、八重の花を咲かせます。昔、中国から持ってきたものが野生化したものといわれています。キスゲの仲間は美しいが1日しか咲かない花の特徴から、英名では「一日ユリ(day lily)とよばれています。属名Hemerocallis もギリシャ語の「一日(hemera)」と「美しい(kallos)」を合成したもの。 ヘメロカリスのなかまには、ノカンゾウ、ニッコウキスゲ(ゼンテイカ)、ユウスゲ、ハマカンゾウなどがあります。若芽や花は食用にされます。一般に「かんぞう萱草」といわれており、別名忘憂草。漢方でなじみのカンゾウは「甘草」と書きマメ科の植物。
 
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ヌマトラノオ
7月13日久喜市所久喜地内水田地帯の水路にて
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ヒメミカンソウ
7月13日久喜市所久喜地内水田地帯の水路にて
 ヌマトラノオ(サクラソウ科)は、沼地などの水辺に生える多年草。ヒメミカンソウ(トウダイグサ科)は、畑や道ばたに生える小型の1年草。この2種が水田地帯の水路沿いに群生いているのを今回確認できました。
 
月下美人と胡瓜
 
 今年もわが家の月下美人が咲きました。7月19日(月例17日)の午後10時、ところがその日、同じ時刻に幸手市内の青鹿徳治さんから、「わが家にも咲いていますよ」との電話が…。駆けつけてみると、なんと1株に18個もの花がさいていました。そのころ、雲間から月が顔をだしていました。しばし、月下美人に酔いしれました。翌朝、我が家の菜園でとぐろを巻いた胡瓜をみつけました。
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見事に咲いた月下美人
幸手市北3丁目青鹿徳治さん方にて
7月19日撮影
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とぐろをまいた胡瓜
7月20日撮影  幸手市中4丁目の自宅にて
 
◎こちらは終了しました◎
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《と  き》 8月2日(土)〜8月31日(火)午前11時〜午後6時
※但し月曜日、 8月29日(金)を除く
《と こ ろ》 鷲宮町立図書館展示コーナー(玄関ホール)
東武線鷲宮駅より徒歩15分 JR東鷲宮駅より徒歩25分
《内 容》 長須房次郎氏が、鷲宮町内で撮影した野草の写真に、わかりやすい解説を加えた、シリーズ自然 写真と文 「ご存じですか わしみやの野草」の中から夏に見られるデンジソウ、クサネム、ツユクサ、スベリヒユ、ヤブガラシなど野草26種の写真を展示。
問合せ先
  鷲宮町立図書館 0480-58-1002
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