トンボ・野草研究家の長須房次郎さんが幸手近郊の自然を紹介

No.65 -9月2日更新-
50年振り オナガサナエの発見
※写真をクリックすると大きな画像がご覧になれます
今年の夏は異常気象…暑い日が続いたあとには一挙に寒さが、その後は連日の雨、雷、集中豪雨。今回はこの2ヶ月間に見聞したトンボと野草の話題を紹介します。

8月27日午後、「オナガサナエを採集しました」という電話がありました。「とにかく実物を…」と、伝えたところ、さっそく、トンボを持ってきてくれました。
まさしくオナガサナエでした。♂でした。採集したのは、幸手市戸島在住の大学生、栗原尚希さん。自宅で採集したということでした。オナガサナエは県東部での記録は、1959年の幸手市での1例があるだけですから今回の発見は50年振りの快挙。
 
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オナガサナエの♂平成20年8月27日撮影
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オナガサナエの♂平成20年8月28日撮影
 オナガサナエは、腹長♂40〜46mm、♀39〜42mm、後翅長♂32〜36mm,♀34〜37mm,
今回採集された個体は全長約60mmでした。幼虫は、主に平地や丘陵地、低山地の清流に生息し、羽化後は水辺を離れ、樹上生活をします。和名は、尾の長いサナエトンボの意。♂の尾部付属器の長いことにちなんでいます。前回のネアカヨシヤンマに続いての明るい話題。トンボの幼虫が生息できる環境が整ってきたようです。雑排水の放流が少なくなった影響は大きいようですね。
※栗原尚希さんは小学生時代(1997年8月17日)に絶滅危惧種のナゴヤサナエを友達と一緒に採集。当時の新聞に「トンボ少年」の見出しで紹介されました。
 

   
今年もミズオオバコが…
 昨年、ミズオオバコ(トチカガミ科)が、幸手市内で確認され、県内からたくさんの方が現地においでになりました。今年はどうかしら? そう思いながら8月20日に現地を訪ねてみました。咲いていました。
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水路に咲くミズオオバコ
平成20年8月21日幸手市権現堂地内にて撮影
 昨年生育していた水路に今年も見事に花をつけていました。水路の上にはシオカラトンボ、ハグロトンボ、ギンヤンマが飛び交っていました。
 
 8月27日、予報が外れて朝から晴れていました。それまでは連日雨。午前8時過ぎ、聞きなれない男の声で電話がありました。「今日、ミズオオバコの写真を撮りに行きたいのでよろしく」。電話の主はさいたま市在住の渡邊清三さん(92歳)でした。渡邊さんは、昨年、ミズオオバコ(トチカガミ科)が、幸手市内に自生していることを知り、電車とタクシーを利用して写真撮影のためおいでになられたがお気に入りの写真が撮れなかった。ついては「今年ぜひ撮影したいので…」、と、いうことでした。
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ミズオオバコの撮影をする渡邊清三さん
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ミズオオバコの撮影を終えた渡邊清三さん
 午前10時過ぎ、幸手駅からミズオオバコの自生地まで車で案内しました。それか
ら約2時間。存分に撮影して帰られました。
「写真を撮るのが大好き」という渡邊さんはどうみても92歳とは思えないほど元気な方でした。
《目標を持って生きる≫ということは素晴らしいことですね。

※ミズオオバコはトチカガミ科の1年草。草全体が水中で生育する。沈水生で植物体は水の深さで大きさが変化する。埼玉県レッドデータブックで絶滅危惧U類にリストアップされている稀少植物。河川開発、水質汚染、農薬汚染などで減少している。

 
ミズオオバコの咲く水路に集まるトンボたち
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ミズオオバコに産卵するギンヤンマ
平成20年8月27日幸手市権現堂地内にて撮影
 ミズオオバコの自生地の水路には成熟したシオカラトンボ、ハグロトンボ、ギンヤンマの飛び交うのがみられました。いずれも産卵のためにあつまったものです。3日間ここに出かけて撮影したもののなかからその一部を紹介します。
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シオカラトンボ♂
平成20年8月21日幸手市権現堂地内にて撮影
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ハグロトンボ♂
平成20年8月20日幸手市権現堂地内にて撮影
 写真のシオカラトンボもハグロトンボもともに♀を待って交尾の機会を狙っているところです。ここでは、シオカラトンボが群れていました。この日シオカラトンボの産卵も確認できました。
 
 

 
この茄子 何に見えるかしら?
 この写真は幸手市東4丁目在住の青木佳則さん方の菜園で採れたものです。この茄子をひがし幼稚園に持参、園児たちに見せたところ、「ペンギンだー」「天狗だー」「急須だあー」と、大騒ぎになったということです。
こんな茄子ができたのも異常気象のためでしょうか。
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「ペンギン?」
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「天狗?」
※平成20年7月17日に収穫したということでした。
 
これは何?
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コブシの果実(袋果が集まった集合果)
平成20年8月28日幸手市桜泉園にて
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ガガイモの花
平成20年8月21日幸手市木立中川右岸にて
 モクレン科のコブシ(辛夷)の果実は、袋果(たいか)が集まって、握りこぶしのようになっています。袋果の中には赤い種子があり、名前の由来は、集合果が握りこぶしに似ていることによります。袋果は1個の心皮からなる子房が熟してできた果実のこと。ガガイモ、オダマキ、トリカブトなど
ガガイモ(ガガイモ科)は人里近いところに生えるつる性の多年草。花期は8月
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