トンボ・野草研究家の長須房次郎さんが幸手近郊の自然を紹介

No.74 -6月10日更新-
デンジソウ(田字草)の自生地は、いま
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 デンジソウは絶滅に瀕している水生のシダ植物。改訂埼玉県レッドデータブック2005で、絶滅危惧TA類に区分されおり、県内で最も絶滅が心配されている植物のひとつで、埼玉県希少野生動植物の種の保護に関する条例による県内希少野生動植物種」に指定されています。
今回は、このデンジソウ唯一の自生地がどうなっているか紹介いたします。
自生地の鷲宮町では、「わしみや自然保護ボランティアテ会」の皆さんが、県、町と密接な連携を保ちながら、デンジソウ自生地保存のための地道な活動を続けています。6月3日には、会員による保護活動〜除草〜が行われました。みなさんの頑張っている様子を見て、これなら、デンジソウも絶滅はまぬかれるのでは…と実感しました。
 
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「わしみや自然保護ボランティア会」の皆さん
鷲宮町のデンジソウ自生地にて 6月3日撮影
 デンジソウは、泥の中に根を下ろし、水中か水辺に生じる夏緑性のシダ植物。根茎は細く、長く横走して不規則に分かれ、やや接して葉をつけます。小葉は4枚、長さと幅はほぼ同じで 1〜2p。四ツ葉のクローバーのように田の字形に並びます。このような葉の形から「田字草」の名前が付けられました。英名はウォータークローバー。
 
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デンジソウ
鷲宮町のデンジソウ自生地にて
6月3日撮影
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除草作業
鷲宮町のデンジソウ自生地にて
6月3日撮影
 
 〜デンジソウ 自生地で見られたトンボ と野草〜
 この地には、デンジソウのほか、セリ、サデクサなど貴重な在来種が見られますが、今回は目についたトンボと野草の一部を紹介します。
☆ハラビロトンボ
 この自生地で特筆されることの一つは、ハラビロトンボがたくさん見られるということです。ハラビロトンボは、平地や丘陵地の挺水植物が茂っている沼沢地や湿地に生息しますが、最近幸手周辺ではどこにでもみられるとは限りません。腹部が太短くて上から押しつぶしたように扁平でハラビロトンボの名前が付けられました。
未熟な個体は、黄色を主調とした地色に黒い条斑があるが、♂は成熟するにつれて次第に黒くなり、一見別種のようになります。
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ハラビロトンボ未熟♂
鷲宮町のデンジソウ自生地にて
6月3日撮影
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ハラビロトンボ半成熟♂
鷲宮町のデンジソウ自生地にて
6月3日撮影
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ハラビロトンボ成熟♂
鷲宮町のデンジソウ自生地にて
6月3日撮影
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ハラビロトンボ♀
鷲宮町のデンジソウ自生地にて
6月3日撮影
 
☆オヤブジラミとコモチマンネングサ
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オヤブジラミ
鷲宮町のデンジソウ自生地付近にて
6月3日撮影
 オヤブジラミはセリ科の2年草で、花期は4〜5月。同じセリ科のヤブジラミより花期が早く、果実が大きいのでオヤブジラミの名があります。

 ★ヤブジラミの名は、藪(やぶ)に生え果実の形がシラミ(虱)に似ていて、全面に先の曲がった刺がはえ、人の体について運ばれるので、ヤブジラミと命名されたとか…。。なお、ヤブジラミの花期は5~ 7月。過日は紫色になりません。

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コモチマンネングサ
鷲宮町のデンジソウ自生地にて
6月3日撮影
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コモチマンネングサ
鷲宮町のデンジソウ自生地にて
6月3日撮影
   
☆イガヤグルマギク
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イガヤグルマギク
鷲宮町西大輪目地内にて
6月3日撮影
 

 イガヤグルマギク(キク科)について前回お知らせしましたが、その後の調査で、少し離れたところで開花している個体を発見、撮影しましたので花の様子を紹介しておきます。

 
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