トンボ・野草研究家の長須房次郎さんが幸手近郊の自然を紹介

No.75 -7月11日更新-
ハンゲショウ、タマムシそして・・・
※写真をクリックすると大きな画像がご覧になれます
 ことしの梅雨入りは6月10日、30度を超す日もありましたが、雨の多い梅雨らしい日が続きました。この一カ月の間に、「フジバカマお守り隊」の皆さんとフジバカマの保護活動、幸手小学校のビオットの植物や動物の調査、紫陽花の咲く権現堂堤の自然探索、久喜自然愛好会が保護活動を進めているヤブカンゾウ自生地での自然観察、絶滅危惧植物の宝庫といわれる渡良瀬遊水地の自然探索などの「ふれあいウオーク」を実施しました。これらの「ふれあいウオーク」では、参加された皆さんともに、絶滅危惧種の野草や昆虫などとの素晴らしい出会いを共有することができました。新しい発見もありました。今回は、それらの中から絶滅危惧種の植物や動物を中心に紹介いたします。
 ハンゲショウ
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ハンゲショウ
幸手市天神島地内にて 6月29日撮影
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ハンゲショウ
幸手市天神島地内にて 6月29日撮影
 ハンゲショウ(ドクダミ科)は、写真のように、茎の上部につく葉が、夏に表面だけが白くなるから「片白草」(かたしろぐさ)の名前もあり、低湿地にしばしば群生する多年草です。しかし、河川開発、自然遷移、自然開発により県内では減少しており、県のレッドリストでは準絶滅危惧種に指定されている貴重種。ハンゲショウの名は、葉の下半分が白くなるので葉が半化粧するからとか、「半夏生」(夏至から数えて11日目)のころ咲くのでこの名がついたとか言われています。ドクダミほどではないが、葉や茎に独特のにおいがあります。穂状の花序に白色小花を多数つけます。花序は初め下垂し、後に直立します。
幸手小学校のビオットに移植したハンゲショウ(6月26日)、渡良瀬遊水地のヨシ原のハンゲショウの群落(7月1日)も見事でした。また、久喜市の備前堀川と備前前堀川の中央にある土手(中土手)のハンゲショウ(6月28日)もきれいに咲いていました。
 
タマムシ
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タマムシ
幸手小学校ビオットにて 6月26日撮影
 タマムシ(タマムシ科)は、全体が金緑色で背面に2本の銅紫色の縦条がある美しい甲虫。幸手小学校のビオットで出遭いました。幼虫はサクラ、エノキ、ケヤキ、カシなどの衰弱木の幹を食べ、1世代に約3か年かかるといわれます。
美しい上に、堅牢なので工芸に利用され、法隆寺の「玉虫厨子」(たまむしのずし)は有名です。
 
ヤモリ
 
県内での分布は、いずれも古い市街地や人家周辺でのみ見られ、局地的な分布傾向を示します。県のレッドデータブックでは準絶滅危惧に指定されている貴重種。幸手市では、未記録種(「幸手市のは虫類目録」…平成12年3月24日幸手市史 自然環境編U)
  
   パソコンの画面を覗く守宮かな  蜻蛉子
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ヤモリ
幸手市中4丁目にて 6月26日撮影
 
トカゲ
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ワラビの葉に止まったトカゲ
久喜市にて 6月28日撮影
 トカゲ(蜥蜴)は、トカゲ科の爬虫類で、平地の乾燥した草むらなどに多く見られます。卵生で初夏のころ、石の下などに、白くて細長い卵を産みます。尾は切れやすく、また、容易に再生することはよく知られています。敵に襲われると、切れた尾がミミズのように動いてその目を幻惑する。
冬は地中で冬眠し、春暖かくなると地上に這い出できます。ヤモリと違って昼行性で、昆虫、蜘蛛、ミミズなどを捕食します。

 するすると岩をするすると地を蜥蜴  山口誓子
 
フジバカマ自生地は、いま
 幸手自然愛護会では、権現堂堤に自生するフジバカマ(国レベルで準絶滅危惧種にリストアップされている)の保護活動を進めています。6月23日(火)にも実施しました。この活動中に、ハグロトンボ、コシアキトンボ、シオカラトンボ、ギンヤンマなどのトンボも見られました。フジバカマ順調に生育しており、今年も花が見られそうです。 次回の活動日は、7月28日(火)午前8時からです。
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フジバカマ自生地にて 6月23日 
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フジバカマ自生地にて 6月23日 
   
ふれあいウォークで出会った野草たち
6月28日の久喜自然愛好会の「ふれあいウォーク中土手」で出遭った野草3種と 「ふれあいウォーク渡良瀬遊水地」(7月18日)での野草7種をここに紹介しておきます。 ※ 解説は省略
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ヌマトラノオ(サクラソウ科
久喜市内にて
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キランソウ(シソ科) 別名ジゴクノカマノフタ
久喜市内にて
   
☆イガヤグルマギク
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ムギクサ(イネ科) 帰化植物(ヨーロッパ原産)
久喜市内にて
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ガガイモ(ガガイモ科)
渡良瀬遊水地にて
   
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ヒルガオ(ヒルガオ科)
渡良瀬遊水地にて
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トモエソウ(オトギリソウ科)
渡良瀬遊水地にて
   
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ノジトラノオ×ヌマトラノオ?(サクラソウ科)
渡良瀬遊水地にて
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ノカンゾウ(ユリ科)
渡良瀬遊水地にて
   
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ミゾカクシ別名アゼムシロ(キキョウ科)
渡良瀬遊水地にて
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ハナムグラ(アカネ科) ※絶滅危惧種
渡良瀬遊水地にて
   
アメリカオニアザミ
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ミゾカクシ別名アゼムシロ(キキョウ科)
渡良瀬遊水地にて
 急速に分布域を広げてきたアメリカオニアザミ(キク科)は、ヨーロッパ原産の帰化植物。茎は1.5m以上になり、全長にわたって著しいひれ(翼)があり、そのひれには鋭い刺があります。茎上の葉も羽状に深裂して裂片の先やへりに鋭い刺があります。種子繁殖。秋から春にかけ発生し、花期は夏から秋。鋭い刺があるので、注意が必要です。
 
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アメリカオニアザミの花
よくわかる茎葉の刺
幸手市中1丁目にて7月5日撮影
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アメリカオニアザミ
今にも飛びたんとしている熟した果実
幸手市中1丁目にて7月5日撮影
   
 
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