トンボ・野草研究家の長須房次郎さんが幸手近郊の自然を紹介

No.77 -9月2日更新-
初秋の水田地帯に見られる野草
※写真をクリックすると大きな画像がご覧になれます
 今回は、初秋の水田地帯を歩きながら出会った野草と案山子を紹介してみたいと思います。
最近、案山子が少なくなりましたが、関宿城近くの水田地帯でかわいい案山子にいくつも出会いました。
 ヒメシロアサザ
 ミツガシワ科のヒメシロアサザは、県のレッドデータブックで絶滅危惧TA類にリストアップされている稀少種で、ごく近い将来における野生での絶滅の危険性が高い植物。
幸手市域では神扇地区での生育が確認されていました(H15年8月)が、今回新たに上吉羽地内で生育が確認されました。(国のレベルでは絶滅危惧U類)
ヒメシロアサザはもともと本州から沖縄までと、分布はかなり広いが生育地は、点々と散らばり珍しい植物。花は白色で直径は8mm、花期は8〜10月。水質の悪化、埋め立てなど環境の変化などで減少している。水路や池沼などに生育する多年草。
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ヒメシロアサザ
幸手市上吉羽地内にて 8月26日撮影
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案山子
関宿城近くの水田にて 8月14日撮影
 
 オモダカとウリカワ
 オモダカ科のオモダカ(沢瀉)は、水田や池沼に生える多年草。葉の形が家紋や鎧の縅(おどし)に用いられているので有名な植物ですが、水田では雑草扱いの嫌われものです。食用の慈姑(くわい)はその栽培品。幸手市域では、かつて八代地域の水田地帯に広く分布していました。花は、花茎の上方に雄花が、下方に雌花が3個ずつ付きます。
 鏃(やじり)形の葉が、顔をあげているように見えるので、おもだか(面高)の名があります。花期は7〜10月。
大星由良之助の巴の紋に見立ててとも言われます。※ウリカワ(瓜皮)もオモダカ科で、水田や池沼に生える多年草。葉の長さは約10p、幅は4〜7mmで先が丸い。花期は6〜10月。雌花は1花茎に1個、雄花は2〜6個つきます。この写真の白い花は雌花。名前の由来は、葉がマクワウリをむいた皮に似ているので付けられたといわれます。別名大星草は花の姿から。あるいは3弁の花を大星由良之助の巴の紋に見立ててとも言われます。※大星由良之助は、忠臣蔵狂言の人物。
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ウリカワ
幸手市上吉羽地内にて 8月27日撮影
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オモダカ
幸手市上吉羽地内にて 8月27日撮影
 
 キクモ
 水田や池沼などの浅い水の中あるいは湿地に生える水草の一種で、ゴマノハグサの多年草。幸手市内では、休耕田や稲刈りの終わった水田などで見られます。最近、生育場所が減少しており、県のレッドデータブックで準絶滅危惧種にリストアップされています。茎は切り口が丸くてやわらかい毛が生えており、長さ3〜30pにもなります。茎の大部分は水面上にあり、細く切れ込んだ葉を5〜8枚ずつ輪生します。水中の葉は、深い切り込みがあり、別種のように思われます。これは、増水や渇水によって水位が変動する水辺に生育する水草の特性です。花期は8〜10月で水面上の葉の付け根に小さな紅紫色の唇形の花をつけます。和名のキクモ(菊藻)は、葉が菊の葉に似ているので。
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キクモ
幸手市上吉羽地内にて 8月27日撮影
 
 
フジバカマ今年も健在
権現堂堤のフジバカマ、今年も健在。幸手自然愛護会の皆さんの保護活動が年8月25日に行われました。その時の写真を紹介します。8月末には4分咲きに…見ごろは9月半ばまででしょうか。
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フジバカマお守り隊(左)の皆さんと咲き始めたフジバカマ(右) 8月25日撮影
 
 この日、フジバカマの近くにはキツネノマゴやツユクサも花を咲かせており、水路にはアサザが黄色の花を咲かせ、水面上にはハグロトンボやコシアキトンボ、シオカラトンボ、リスアカネ、ウスバキトンボもみられました。
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キツネノマゴ
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ツユクサ
 
 案山子のいろいろ
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案山子のいろいろ  関宿城近くの水田にて  平成21年8月14日 撮影
   
ミズオオバコも健在
 幸手市権現堂地内の水路では、今年も見事に咲いているミズオオバコの群落が見られます。この水路ではシオカラトンボとハグロトンボが産卵のためにやってきていました。
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成熟したハグロトンボ♂
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ミズオオバコの群生する水田地帯の水路
   
 蝉 あれこれ
 「しゃあしゃあ」というクマゼミ(熊蝉)の鳴く声を、幸手市中2丁目地内で初めて聞きました。8月8日のことです。クマゼミは日本のセミ類で最大、もともと神奈川以西の暖地に多かったのですが、近年関東地方に進出して話題になっている蝉。 ちなみにツクツクボウシは8月2日、ミンミンゼミは8月8日にいずれも中4丁目の幸宮神社の杜で聞きました。アブラゼミ、ニイニイゼミについては記録できませんでした。
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空蝉 地上数メートルの枝に
鷲宮町沼井公園にて 8月20日撮影
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無数の空蝉
鷲宮町沼井公園にて 8月20日撮影
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蜘蛛の巣でもがくアブラゼミ
幸手市木立ひばりヶ丘桜泉園 8月20日撮影
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アカマツの幹で鳴くツクツクボウシ
幸手市中4丁目にて 8月21日撮影
   


◎こちらは終了しました◎
◆ふれあいウオークのご案内◆

《と  き》
9月16日(水)午前9時集合 解散予定は午後2時頃
《内  容》
アスカル幸手周辺 秋の自然探索&歴史探訪
《集合場所》
アスカル幸手(幸手市平須賀2380-1)
《講  師》
幸手自然愛護会 会長 長須房次郎氏
(NPO埼玉県絶滅危惧植物種調査団調査員自然観察指導員(NPO自然観察指導員埼玉)
《参加費》
200円(保険代を含む)
《主  催》
幸手自然愛護会
《持ち物》
弁当・飲み物・雨具・筆記用具・帽子(黒は除く)着用、持っている人はルーペ


《申込み・問合せ先》

和泉さん 0480-42-4397  横田さん 0480-43-1373

 ※ 会員以外の方の参加を歓迎します!!※

 
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