飲料自動販売機から見える環境問題
NPO法人「環境文明21」事務局 松尾 和光氏
 
環境文明21は、7年前に設立。欧米のNGO・NPOがなぜうまくいっているかなどの調査研究、CO2削減のために森林吸収より排出削減が大切などの政策提言、最先端の環境思想を伝える会報「環境と文明」を毎月発行するなどの普及啓発、環境教育活動を行っている。
 当会では、生活に密着している飲料自動販売機が、大量生産、大量廃棄の典型であり環境を配慮すると日本の台数が多すぎると考え、この問題に取り組んできた。
国内年間総発電量の約0.8%−多いか少ないか?
飲料自動販売機の問題として
エネルギー消費(CO2)
廃棄物の散乱(ポイ捨て等)
景観の破壊・まちづくりの阻害(きたない、搬入時にドアが歩道をふさぐ、地震時の危険等)
冷媒フロン類の未回収・放出
その他(光害・低周波)などが考えられる

松尾和光氏
これほどまでに普及した社会的要因として消費者にとっては、手軽・便利。ロケーションオーナーの負担は、1ヶ月約6.000円の電気代負担のみで一本につき15〜22円のリベートが入り、一日10本以上売れば手軽にもうかる。企業は、設置するだけで大きな宣伝効果が見込めるため他社のの自販機撤去を条件に設置料を数十万円支払う例もある。
 対応策としては、社会システムをどう変えていくかが重要になってくる。
l台数削減−行政の取り組み例 なくせとは言わないけれど
 行政の台数制限の取り組みとして、出雲市とその周辺では、酒の自動販売機を2000年までに撤去。豊田市では、庁舎・公民館・体育館から飲料自販機を撤去。ダイオキシン問題でゆれる大阪府では、公害調停の中で住民が自らごみを減らす努力をするために、公共施設から自販機を撤去する声が起きた。また青森県深浦町では、たばこ・有害図書の自販機の撤去が条例化されている。海外では、道路に面する壁までを公共部分としてるため、屋外にはほとんど設置されていない。

 今後は、都道府県に対して道路の広さに対応した条例をつくることを働きかけるなど地域での活動が有効。また、一般の人に理解してもらうための啓発活動が重要である。
 メーカーでは、午前中に数度強く冷やし電力消費の大きくなる夏場の午後1時から4時の間冷却装置を停止することで年間10〜15%のエネルギーをカットする省エネ型の自販機を導入。1998年に約40万台を普及させている。
 しかし、たばこの自動販売機と異なり、賞品を加湿したり冷却したりする飲料自販機が260万台も必要なのか。赤ちゃんを含めた49人に1台の割合、大型原発1機分、1台で一般家庭の消費電力の7割分、年間40万台が廃棄処分と言う数字は環境の容量を越えている。
日本にあふれる飲料自販機
 
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