生ごみの有効利用と循環型農業の試み(No3)
土淵 昭
■コンポスターを利用する方法
コンポスターも多くの行政が助成金をつけて利用を図っている場合が多く、庭や畑をお持ちの方は利用されている方も多いかと思います。
コンポスターは釣鐘型をしていて、底が無く上部に生ごみ投入口と蓋がついているものが多いのですが、四角い形をしているものもあります。
使い方は設置場所に少し穴を掘った上にコンポスターを置き、底のほうに落ち葉や枯れ枝の細かいものを20cm程度敷き、上から生ごみを入れて、少量の土と落ち葉をかけてシャベルなどでよく混ぜます。醗酵が悪いときは糠を一掴み混ぜると良いようです。
使い方のコツは、蓋と容器の間に棒を挟んで蓋を浮かして内部から上がってくる水蒸気を逃がしてやることが大切で、蓋をきっちりすると蒸発水が容器の中に逆戻りして水分過多になると腐敗していやなにおいが出るし、ハエをよびこみやすくなり蛆虫がいっぱい出てくることがあります。上手に使いこなせば、醗酵熱で内部の温度が上がって来れば占めたもので、悪臭はしません。
ポイントは、生ごみ投入時に落ち葉や土とよく混ぜ合わして空気を入れてやることと、水分を蒸発させて幾分乾燥気味に保つことです。
また、ハエや虫が入らないように目の細かい布(パンティストッキングなどを使うと良い)で入り口に帽子をかぶせると良いでしょう。もちろん、雨の日は蓋をきちっとして水が入らないようにします。(菅笠を取り付けていて、蓋をしない人も居ます。)
この方法を上手に使いこなした方は「便利だし、下の方で熟成したものは良い肥料になる」とおっしゃいますが、うまく使いこなせなかった人は、コンポスターが畑の道具入れになっている場合もあります。
慣れて使いこなすには1回や2回失敗してもめげない熱心さと根気が要るようです。

■ダンボール箱を利用する方法
埼玉エコ・リサイクル連絡会の園田さんが推奨する、段ボール箱利用の生ごみ処理をご紹介します。この方法の発案者は、香嶋 忠正さん(神戸市ごみ問題連絡協議会)とのことです。
 ダンボール箱(10kgのみかん箱)の場合、腐葉土25kg、籾殻燻炭500gおよび糠1kgを混ぜ合わせたものを入れる。腐葉土と籾殻燻炭はホームセンターや園芸店で売っています。
段ボール箱の底にはダンボールの板2枚か、新聞紙なら10枚くらい敷いておいて水分の吸い取りに役立てます。また、箱は床にじかに置かないで角材などの上に置いて隙間を作っておくと良いとのことです。
 生ごみを入れてかき混ぜると4〜5日たつと醗酵が進んで温度が上がる。(私も実物を触ってみましたが、40度くらいの暖かさで臭いも悪くありませんでした。)
冬場の寒いときはベランダでは温度が低くてうまく醗酵しないので室内に置く必要があるとのことです。
 数日で生ごみは消えてなくなり毎日生ごみを入れて半年たってもほとんど中身は増えない、とのことです。
これもプラスチックなどで蓋をしないでください、醗酵熱で蒸発する水分を逃がすのが肝要です。新聞紙とかダンボールで蓋をすればよいでしょう。また、虫が入るのを防ぐのでしたら、細かい目の布をかぶせると良いでしょう。
水分は50〜60%がよい、といわれていますが、どうやって水分を測るのでしょうか。
私の経験では、握ると固まるが下に落とすとパラッと砕ける程度が水分50〜60%の目安とされています。
この方法は少し練習すれば、初めての方も多分失敗無く使えるように思います。詳しい使い方は(N)埼玉エコ・リサイクル連絡会の園田さんに聞いてください。
 この方法は、生ごみや糠に含まれている肥料成分とかなり長い間生ごみを処理するので、肥料の有効成分がその分濃縮されています。
園田さんから頂いたメールでは、家庭で約3ヶ月処理して2ヶ月放置熟成したものは、全窒素3.3%、燐酸約6%、カリュウム約5%(他の成分省略)となっており、私のところの団地で行なっている生ごみ処理機から出る肥料は、測定した時により多少違いがありますが、全窒素4.5%、燐酸1.6%、カリュウム2.5%程度です。
私の団地の処理機では、生ごみ肥料を2週間に1度とり出すのと、糠を全く使わないので、その辺の違いが出ています。
 この方法の生ごみ処理にあたり、生ごみは消えて無くなったように見えても、実は醗酵の過程で有機物が二酸化炭素と水に分解されて見えなくなっただけで、生ごみの中にある肥料の3成分のうち、燐酸分、カリュウム分は蒸発しませんから全量残って濃縮されているはずですし、窒素成分も一部は窒素ガスになって飛んでしまっているかもしれませんが、一部は支持材料の中に保持されているものと考えられます。
 そのようなことで、全窒素は比較的少なく、燐酸とカリュウムが多い結果になっています。
 この肥料は3要素のバランスとしては、窒素分がやや少ない(燐酸とカリュウムがやや多い)ので、葉物野菜よりは実がなる野菜やイモ類に向いています。また、花などは多分色が鮮やかになります。
 ただし、生ごみの投入期間をコントロールすれば、窒素、燐酸、カリュウムのバランスは変わってきますし、投入する生ごみの種類によっても変わってきます。
 この堆肥の使い方は、生ごみを最後に投入したものを直ぐに使うと、熟成不完全の生ごみが残っていますから、多分野菜に障害が出ます。最低でも1カ月くらい置いて熟成したものを使う事をお勧めします。使用量の目安は園田さんからの肥料のデータ―の場合であれば、1uあたり200gから300g が良いでしょう。詳しくはエコ・リサのホームページをご覧ください。

■市販堆肥にご注意
本題から外れますが、ちょっとお知らせ
 私の団地では生ごみ処理機により肥料を年に2トンから2.3トン生産しており、毎年県へ「肥料の生産届」を提出しています。
その関係で、今年の2月に埼玉県農林総合研究センター長名で、「注意喚起のお知らせ」がありました。
 その概要は「輸入粗飼料を与えた牛糞・尿を使って作った堆肥を使用する場合は、クロピラリド感受性作物を使って、生育障害がないかどうかをチェックしなさい」とのことです。
 平たく言うと、マメ科、ナス科(ナス、トマト、ピーマン、ジャガイモ等)、菊科植物はクロピラリドに対して感受性が高く発育障害を起こすので、あらかじめポットに牛糞堆肥を使って豆類を撒いてチェックしなさい。ということです。
 もう少し詳しく言うと、アメリカ等で除草剤としてクロピラリドを含む薬剤を撒いてトウモロコシを作る場合があるが、トウモロコシや稲などのカホン科植物はクロピラリド耐性があるので影響が無い。そのトウモロコシ等を使った餌を牛に与えると、牛は24時間で95%以上除草剤成分を排泄する。その関係で、牛糞堆肥を使うとマメ科、ナス科、菊科植物に障害が出るので気をつけるように。とのお知らせです。
 ここからは私の意見ですが、現在の日本で、牛や鶏の餌は95%くらい輸入飼料ではないか。そして、牛糞堆肥を使ってマメ科やナス科でない、トウモロコシや稲を栽培した時、クロピラリドを含む除草剤は植物体に吸収されるので、人が食べた時にやはりそれらが身体に入るのではないか、マメ科やナス科に使わないから、植物の生育障害にならないから良い、と言うものではないのではないか、と思いました。でも、人間も24時間でクロピラリドを95%以上排泄する?から問題ないのか、常用したら長期的にはどうなるのか、よく判りません。

■生ごみを堆肥づくりに利用する

 私は毎年落ち葉堆肥を1トンくらい作っています。終戦後若い頃に田圃を1,000坪、畑を500坪ほど耕作していた頃は、稲藁や麦わら、刈草などを材料にしていました。
 その頃は化学肥料など無く肥料が極端に手に入りにくく、学校の下肥を汲んできて刻んだ藁に掛けて醗酵を促していました。稲藁には納豆菌を代表とする菌類がたくさん居て、醗酵が早く、数ヶ月でよい堆肥が出来ました。落ち葉堆肥のほうは稲藁よりも完熟堆肥になるのに時間が掛かるようです。
何れにしても堆肥を作るには落ち葉や草、藁などの材料に窒素分を含んだものを混ぜて菌の餌にする事により醗酵を促す必要があります。
 落ち葉、稲藁などだけで何も混ぜないで、ただ水分調整と切り返し(時々空気を送り込む)だけでも堆肥は出来ますが、とても時間がかかり、特に落ち葉だけでは一年以上掛かりますし肥料成分が少ないので、土壌改良にはなりますが肥料としては不十分です。
 堆肥づくりの窒素分の補給に生ごみを使うのは有効です。生ごみの他に糠を混ぜるとなお醗酵が上手く進みます。生ごみの量が少ない時は窒素分の補給として鶏糞などを混ぜれば醗酵が早く進みます。(入れすぎないで下さい、多いといやな臭いが出ます)また、畑に生えた草を混ぜると醗酵が早く進みます。
 後で述べますが、私の団地には生ごみ処理機(処理能力1基100戸分が2基)があってかなりたくさんの生ごみ肥料を生産しており、その篩上の粗いものを落ち葉堆肥の窒素補給と菌の添加に利用しています。

 2年ほど前に、私の知り合いの幼稚園の園長さん(そこはお寺の一郭を幼稚園にしていて、自然教育をモットーにし、落ち葉が多量に出る)から、園からでる生ごみを堆肥化したいので、教えて欲しい、との依頼があり、落ち葉と生ごみと糠を使った落ち葉堆肥の作り方を実地に指導し、半年くらいして「大変上手く行っていて、園の畑に利用している」との連絡がありました。
 
■堆肥化の次に環境負荷の少ない生ごみの処理方法とは・・・
(1)らくらくごみけし君

 埼玉エコ・リサイクル連絡会の「ごみを知ろう委員会」では、らくらくごみけし君」という生ごみ処理器の利用について研究しました。
この方式は、10リットルくらい入る布袋を収納した容器に、ある種の酵素(酵素といっているが、酵素は物質なので、使っていればだんだん消耗してなくなるので、たぶん何らかの菌がいる) を担持したチップを入れておき、生ごみと糠を混ぜて投入し、袋の底についている紐を上下することによりチップと生ごみを混合する。一日に一回混合するだけで醗酵が起こり、生ごみが処理され消えてなくなる、いわゆる消滅型の生ごみ処理器です。
この実験結果は以前エコ・リサイクル交流集会で発表し、エコ・リサ通信でも報告しましたから要点のみを記します。
取り扱いはきわめて簡単で文字通りらくらくですが、冬になるとなかなか醗酵が進まないので、室内に入れる必要がある。うまく醗酵が進めば、室温プラス20℃〜30℃になる。
糠を入れないと醗酵は遅くなって温度が上がりにくくなる。虫が発生することがあるので、そのときは殺虫剤をまく場合がある。
生ごみは消えてなくなったようになり数ヶ月たってもある重量より増えてこないです。
カタログによると、3年に1度程度チップを交換する必要がある。とのことです。
基本的に古いチップは焼却ごみに出すことになっているようですが、この中には燐酸分やカリュウム分が濃縮されているはずですから、落ち葉堆肥やバーク堆肥に混ぜて使用することをお勧めしたい。ただし、殺虫剤がどの程度分解して無害になっているかが気にかかります。
この方法も基本的に生ごみ処理のみで、肥料として使わないのであれば、「生ごみをエネルギーを使わないで処理する」点で燃やすごみとして処理するよりもはるかに環境上に良いとして効果を認められますが、「循環型農業」のテーマからは外れます。

(2) エコポットプロ
北本市では「エコポットプロ」と言う「らくらくごみけし君」を大型化した装置を使って学校の生ごみ処理に利用しています。
この機能は基本的に「らくらくごみけし君」と同じですから細かい事は省きます。
この装置は生ごみとチップを混ぜ合わすのに大型の袋を上下させる動力のみで、1日に1回だけですから、「殆どエネルギーを使わないで生ごみを処理する」物として評価されますが、循環型農業には使わないのが建前です。いや、古くなったチップをバーク堆肥として使って欲しいものです。

 
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