【基調講演報告】
環境ホルモン情報最前線
毎日新聞編集員 小島正美さん

報告者 田中輝子
 
まず前置きとして、環境ホルモンが外から入ってきてホルモンの情報を乱すものであること、また、ホルモンは悪いものではないという認識があると思うが、スポーツ選手などが筋肉増強剤として使用するステロイドホルモンに副作用があることにも触れ、本題に入りました。

環境ホルモン問題の核心は何か
はじめに環境ホルモンが話題になった1997年頃は多摩川のコイ、フロリダのワニ等、動物のことが取り上げられていた。
最近の情報としては、キンカチョウやカナリヤのメスの雛にDDT等のホルモン様物質を与えると脳がオス型になって、メスなのに鳴き始めることが分かってきた。

 

核心は何か環境ホルモン問題はDES(ジエチルスチルベストロール)事件に集約されると、思っている。
DESは1941年〜1971年までの30年間、世界中で使われた合成女性ホルモン剤である。主に流産防止に使用された。DESを服用した母親から生まれた女児が成長して、普通、老人の病気とされる膣ガンにかかった。その女性たちの母親の共通項として、DESを服用していたことが分かった。DESの影響は他にも男児の停留精巣、尿道下裂、精子減少、発ガンなどがある。環境ホルモンの問題点は、生まれた時にすぐ影響が分からず、成人してからでないと分からないことである。一番影響を受けやすい時期があり、それを臨界期という。いったん臨界期に影響を受けると元には戻らない。(不可逆的)量よりも時期が大事で、これが環境ホルモンの核心である。



化学物質と脳神経の関係
猫の目隠し実験でも分かるように、臨界期は器宮によって違う。脳は生まれてから1〜2年は脳神経細胞が他の時期に比べ濃密に配線されていくので、この時期に色々な情報を与えることが大事。虐待は配線に悪い影響を与える。
環境ホルモンの最新情報@ビスフェノールAは微量でも生殖障害・に行動異常
AビスフェノールAは脳内に蓄積
BビスフェノールAなど多くの物質が免疫に影響



T細胞(リンパ球の一つ)は骨髄の中で作られる。
できた未熟なT細胞が胸腺にきて、自分の細胞に反応するものを自殺させていく。敵だけを攻撃するT細胞だけが体中に出て行く。胸腺はT細胞を一人前にする学校のようなものである。ところがダイオキシンが入ってくると、胸腺の働きがおかしくなって、自分の組織を攻撃するT細胞が体中に出ていってしまう。これがアレルギーの原因のひとつと言われている。
CDEHP(フタル酸エステル)はホルモンを介さない毒性がある。

行政は何をすべきかPRTRなどでも、神奈川県では様々な人に意見を聞いている。色々な案を検討して反映させていくことが大事である。環境ホルモンについても報告書を出している。市民は何をすべきか情報を集めて、自分でいいと思ったことを実践していくことが大事である。妊娠中の人は色々なことに気をつけた方が良い。

 
 
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