第2分科会報告
報告者 山崎育夫
 
第2分科会は、ごみ減量のための入口である「買い物」にスポットをあて、エコ・リサ連絡会のグリーンコンシューマー(以下GC)委員会が、今年度作成した「買い物ガイド作成マニュアル」を題材にしながら、環境市民の癘{育生(スギモトイクオ)さんのお話しから、全国で進められている「買い物ガイド」作成の意義、日本のGC運動の現状について学ぶとともに、質疑や意見交換を通して、埼玉における買い物ガイドの今後について考えました。

☆まず、エコ・リサの大前万寿美さんから「買い物ガイド作成マニュアル」について説明があり、冊子発行の出発点になった「消費者自身が変わらないと」という思いや、「誰でも気軽にできる手がかりになれば」というねらいのほか、事前準備から調査、まとめという流れの中での、実体験に基づいた細かい留意事項、大切なのはお店を評価することではなくお店に変わってもらうこと、そのためには、お店の方とよく話しをしてくることが大事であることなどが強調されました。

☆続いて、環境対応の指標のひとつである石けんに関連して、合成洗剤と石けんの見分け方や表示の見方などについて、田中輝子さんから実験と説明がありました。

★日本の「買い物ガイド」作成の第一人者である癘{さんは、講演の中で、日本人が環境に強い関心を持っているのに実際の行動につながらないのは、「環境にいい暮らし=我慢」という考え方が根強いこと、そしてそれはアメリカ人とアメリカ社会にも共通することであると述べられ、それとは逆に、北欧やEUでは「環境にいい暮らしそのものが豊かな暮らしである」という考え方と、それに基づいた社会システムができていることを対比して指摘されました。
癘{さんは、一見豊かな今の生活こそ「消費に依存する画一的な生活」であり「本当の意味での生活の豊かさにつながる商品選択」をするということがGC活動の本質であると話されました。さらに、GC活動は21世紀のキーワードである環境・情報・地域の3つをすべて満たした活動であり、地域の消費者自身が、環境にいい商品選択を目指して、自ら情報を発信していくという点で、「買い物ガイド」作成というのは、社会を変えていく大きな意義をもった活動であること、遺伝子組換え食品拒否のこの間の流れやハイブリッド車人気で社会の流れが変わったことからも分かるように、住民の選択は経済の流れさえ決定していくこと、しかし、そのためには、住民がよく勉強して力をつけ、情報の受け手としてでなく情報の発信者として、製造者や販売者とも協力していくことが重要などということを話されました。
全体を受けた質疑や意見交換では、ガイド作成の次のアクションや石けんについての質問のほか、これまでに買い物ガイドを作成された方からの苦労話なども交流され、予定の時間をオーバーするほどの熱心な討議の中で閉会となりました。当日、売れた77冊のマニュアルを利用して、多くの市町村で「買い物ガイド」が作成されることを期待し願っています。
 
第3分科会報告
報告者 斉藤勉
第3分科会では、地球温暖化防止がこの間、社会全体の大きなテーマとなって来ている情勢を受けて、省エネルギー、省資源に繋がる活動に取り組み、ひいてはその事が循環型社会の形成に向かっていける活動を、地域で進められている3氏を迎えて、日常の活動を報告頂きました。

岡本一道氏(陶工) 信州・地球温暖化対策研究会公募委員
吉岡淳氏 カフェスロー主催
山ア求博氏 足元から地球温暖化を考える市民ネットえどがわ副代表理事/事務局長

「温暖化をくい止めるのはやっぱり市民!」
3名の報告者のみなさんからは、実践の中から生まれた経験談・アドバイスも取り入れながら地域に根ざした個性的で特徴ある活動内容が報告されました。その中で、いみじくも共通していたのは、環境の取り組みを拡げて行く時は、あまり肩肘張らず○○反対とか運動を声高に主張するのでなく、それぞれ個人個人が普段の生活の中で身近に出来る事から始め、進めていく(進めて行ける)視点を持つ事の大切さでした。「何かを言葉にして主張するよりも、先ずは自分から行動してみる」その事を自ら地域の先頭に立って実践してきた3氏からのお話は、大変説得力のある有益なものでした。
3名の方から報告を頂いたのちに参加者からの質問や意見を受け付けました。
足温ネットやカフェスローから報告された内容の一つである「地域通貨」に興味が集まったようで、その目的や効用、副次効果についてのやり取りが交わされました。

講師の方々のお話の中からいくつか抜粋して報告させていただきます。
『エコロジー = つらい のイメージでは、拡がっていかない』
『意識の高さだけで期待しても社会は中々動いてくれない』
『一人一人が運動でなく文化・ライフスタイルを創っていく。一生懸命でなく、カッコ良く』
『先ずは、コンセントを抜いて見る。テレビが点くまで3分間待っても良いじゃないか?その事が人付き合い・生きかたそのものについてもあてはまる』
『公害とは革靴を履いて裸足の人を踏んでいる関係とも言える。踏んでいる人は踏まれている人の痛さは判らない、踏んでいる事さえも気が付かない』
『他人の生活権を奪ってまでも自分達は豊かな生活をする。そんな事で良いだろうか?』
 
第4分科会報告
報告者 早船雅文
 

「古繊維のリサイクル」というテーマを、今回は川上から川下まで業界・市民団体・行政それぞれの取り組み活動を、5人のパネラーに発表していただき、質疑応答討論を交えて、どのようにしたら「古着の90%が焼却・埋め立てされている!」という現状を解決し、適正・効果的なリサイクルシステムを構築できるかについて話し合いました。

第一部ではまず、(社)日本アパレル産業協会松岡信行さんから、アパレル業界も「環境」というキィワードからドイツにおいて70%リサイクルされている現状を調査し、日本においても日本型リサイクルシステムの構築、アパレルを余分に作らない・長く着ていただける商品作り・リユースそしてリサイクル再資源化に向けての取り組みについて発言がありました。また、2003年秋冬から「エコメイト」マークを付けて服を簡単に分別できるように、糸の段階での商品企画など、アパレル・リサイクル・ネットワークについて説明がありました。ファイバーリサイクルネットさいたまの久慈美智子さんから、「古着を捨てないでもう一度生かしたい」との思いから古着の回収活動・学習会見学会・消費生活展の開催・他団体とのネットワークについて発言がありました。活動の中で感じたことは、安い衣類が安易に捨てられていること・古繊維について情報が少ないこと・行政からも市民に正確な情報を伝えないまま回収していること・メーカー側がリサイクルコストの負担なしに安く大量生産し、リサイクルを考えた商品づくりがされていないことなどが指摘されました。古繊維回収業者(有)石川正利商店の石川利昭さんからは、古繊維リサイクルの現状について発言がありました。
繊維総排出量2076千トンのうち再商品化量247千トン再商品化率11.9%の現実
また昭和初期までは古繊維は日本の有数の輸出産業だったことなど説明がありました。行政側から、まず所沢市環境クリーン部リサイクル推進課の越阪部孝夫さんから、生活クラブ生協の会員有志から始まったファイバーリサイクル回収の現状について説明がありました。平成9年には31トンだった回収実績も、平成10年には157トンになり回収拠点も16箇所から40箇所に増やしましたが、近年リユース・リフォームの観点から回収量は減少しています。「古着フォーラム」の開催や「もったいない市」の開催「所沢リサイクルふれあい館」の開館により常時収集・常設もったいない市の開催など、古着をごみにしない生活に向けての各種事業を行う説明がありました。最後に経済産業省製造産業局繊維課課長補佐の山田剛士さんからは、日本の繊維リサイクルの現状の課題の紹介と、今後の国としての繊維リサイクルの進め方について発言がありました。リデュース・リユース・リサイクルの推進について説明があり、アパレル・羊毛紡績業界からそれぞれの3つのRについてアクションプランを作成し実行してもらう発言がありました。

第二部では、質疑応答と討論が行われました。その中で特に感じたことは、服についての考え方、つまり高くても良い商品を買って大切に長く使って、壊れたところは修繕し、服を無駄にしないこと、そんなライフスタイルが今後必要になってゆくと感じました。

 

 
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