基調講演
環境問題と生ごみ -生ごみを発生場所で処理したら-
講師:埼玉エコ・リサイクル連絡会 竹村元宏 土淵 昭 上領園子 吉村七郎
テーマの、生ごみを「発生場所で処理したら」は、エコ・リサの会員12名が、財団法人消費経済研究所からの助成金を得て、約1年半を掛けて研究した成果報告とも言うべきものであった。この研究結果については、エコ・リサ通信43号(03年6月発行)に発表したので、ここでは触れないことにする。発表した研究の期間は1年6ケ月であったが、この研究の芽は約4年前に膨らみ始めていた。それは「埼玉県下自治体の焼却ごみの組成解析研究」を行ったことであった。
家庭からのごみは当然水を含んだ状態で出される。ところが自治体の焼却ごみの組成分析は、ごみを乾かした後に行うことになっている。だから家庭から生ごみが幾ら出ているかは、自治体の分析結果からは分からないのである。生ごみばかりではなく、その他の成分も同様である。
自治体や、市民団体がリサイクルやごみの減量をしようとしても、それが幾ら排出されているかが分からなければ、目標の立てようがない。エコ・リサは平成5年にさかのぼって、各自治体の焼却ごみの含水状態での排出量を推定し、3年前から外部に発表するとともに、自治体にフィードバックしてきた。
各自治体の組成が分かると、それを足して埼玉県全体の量が判ってくる。結果を集計して驚いたのは、水の多さと、生ごみの多さである。焼却ごみに水が45%も入っているぞ。生ごみには85%も入っているぞ。
今まで燃やすのが一番経済的といわれ、各自治体は大きな焼却設備を作り、国はそれに補助金を出してきた。こんな水の多い物を燃やすのは経済的なのだろうか。燃やすことは環境に良いのだろうか。よーし!調べてやろう。好奇心の塊のようなエコ・リサのおじさんとおばさんが、頭をひねって調査研究したのが今回の基調講演であった。
研究結果が、生ごみは燃やさずに、発生場所で処理するほうが安い、と言うことであったことは御承知の通りである。客観的に、数字を挙げて説明したのが今回の基調講演であった。
県がまとめた参加者アンケートの回答の幾つかを以下に紹介して稿を終りたい。

データ的な報告で取り組みの仕方・方法・大変細かい数字が嬉しかった。
よく分析されていました。ここへ来ない人によく知らせたいと思います。
データに基づいた発表で、この内容はこの内容のものとして理解でき、納得できた。
数字からの実証には説得力がありました。これは、実現可能だということも他国の実例からもわかります。"おまかせごみ行政"でなく、市民全体で考えていくこと、キーワードが"地域"(コミュニティかな?)にあることが印象的でした。
   
(報告 竹村)
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